米国株式市場見通し:大統領候補最終討論会や第3四半期企業決算に焦点
新型コロナウイルスの行方、追加経済対策、そして大統領選挙が不透明要因となり上下に振れる展開が続きそうだ。同時に、来週も企業の第3四半期決算が目白押しで結果に注目したい。アナリスト予想がかなり悲観的であったこともあり、半分以上の決算がアナリスト予想を上回る結果となっている。追加経済対策を巡るムニューシン財務長官と民主党ペロシ下院議長との交渉は大統領選挙前に合意する確率が大幅に低下したものの継続すること自体が好感材料となる。いずれ合意成立し、景気回復を助けるとの期待は根強い。さらに、選挙前最後の大統領候補者による討論会が22日にテネシー州のナッシュビルで開催される。トランプ大統領のコロナ感染以降、民主党のバイデン氏がリードを拡大しており、勝率は85%近くまで上昇している。投資家間に一時見られたバイデン氏勝利への脅威は薄れつつある。大規模な経済対策への期待が増税への脅威を相殺しており底堅いセンチメントを支援しそうだ。
リスクは新型コロナウイルスの第2波だ。欧州での感染件数は急増し4月の水準に近づく勢いで、域内各国は再び夜間の外出禁止令を発令するなどの規制強化を強いられている。軌道に乗り始めていた経済の回復は再び停滞せざるを得ない。米国も例外ではなく新型コロナウイルス患者の入院件数は2カ月ぶりの高水準に達した。ワクチンや治療薬の開発は順調ながら実用化はまだ先と見え、ウイルスの再拡大が当面のリスクになる。
経済指標では、10月NAHB住宅市場指数(19日)、9月住宅着工件数・建設許可件数(20日)、新規失業保険申請件数、9月景気先行指数、9月中古住宅販売件数(22日)、
10月マークイット製造業PMI(23日)が予定されている。そのほか、連邦準備制度理事会(FRB)は21日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表予定。FRBはこの結果を参考材料の一つとして、次回大統領選挙直後の11月4日、5日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)で政策を決定する。また、FRBのパウエル議長は国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ理事、国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人との国境間の仮想決算に関する討論会に参加する予定で、発言に注目したい。
企業決算ではITサービスのIBM、石油掘削のハリバートン(19日)、消費財メーカー、プロクター&ギャンブル、動画配信サービスのネットフリックス、半導体のテキサス・インスツルメンツ、防衛のロッキード、写真・動画共有アプリのスナップ(20日)、電気自動車メーカーのテスラ、通信のベライズン、バイオのアボットラボ、バイオジェン、カジノ運営のラスベガスサンズ、家電メーカーのワールプール、(21日)、半導体のインテル、飲料メーカーのコカ・コーラ、アメリカン航空、(22日)、オンライン小売りのアマゾン、クレジットカードのアメリカンエクスプレス(23日)などが予定されている。
テスラの決算では2020年度の販売台数目標の見通し、ネットフリックスの決算では契約者数に焦点が集まっている。また、パンデミック下、需要の急増で収益を押し上げたと見られるプロクター&ギャンブルは好決算が予想されるが、経済活動の再開に伴う今後の見通しにも注目したい。アマゾンも引き続き好調な決算が予想されるものの、同時に前期にも指摘されたパンデミックコストの上昇には注意したい。ラスベガスサンズはマカオの回復が鈍く損失が続く見込みだ。また、ハリバートンは第3四半期決算で前年比大幅減益が予想されているものの第2四半期に底入れし、今後は改善基調となることが期待されている。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》