決算発表に先回り、「上方修正シグナル点灯」の6銘柄リストアップ <株探トップ特集>

特集
2020年10月19日 19時30分

―上期予想を増額しながらも通期計画据え置き、業績上振れ余地満載の値千金株を狙え―

小売業を中心とする2月期決算企業の3-8月期決算発表が一巡し、今週後半からはいよいよ3月期決算企業の4-9月決算発表が本格化してくる。22日に発表を予定する半導体切断装置大手のディスコ <6146> を皮切りに、10月末までにおよそ650社、11月に入ってからは1500社を超える企業が発表を控える。今回は上期決算発表シーズンを前に、5日に配信した「最新“上方修正予備軍”リスト、好調&増額実績で探る『有望企業』」に続き、21年3月期の通期計画を上方修正する可能性が高いとみられる企業を探った。

●慎重な予想多く上方修正相次ぐとの見方も

新型コロナウイルスの感染拡大が及ぼすマイナス影響への懸念などから、例年より保守的な業績計画を立てる企業は多い。一方、足もとでは巣ごもり消費テレワークといった新しい生活スタイルに適応する企業を中心に、慎重な業績予想を上方修正する企業が増えている。2月期決算企業の上期決算が発表された9月からの1ヵ月半に、21年2月期の通期計画を上方修正した企業の数は昨年の15社を大きく上回る40社に膨らんだ。3月期決算企業でもその兆候はみられており、これからの決算シーズンで上方修正する企業が相次ぐとの見方も出ている。ここは決算本格化を目前に業績上方修正が期待できる企業を改めて見直しておきたいところだ。

前回の「最新“上方修正予備軍”リスト、好調&増額実績で探る『有望企業』」では、業績予想の修正履歴に着目し、上方修正する傾向が強い企業に主眼を置いて銘柄を選別した。今回は視点を変えて、上期の業績予想を上方修正したにもかかわらず、通期計画を据え置いた企業に注目。以下では、こうした企業の中から、上方修正余地が大きいとみられる6銘柄を紹介していく。

●イビデンは5G進展による成長期待強い

イビデン <4062> は第1四半期決算と同時に上期業績予想の上方修正を発表。経常利益は期初計画を40億円も上回る100億円(前年同期比18%増)に伸びる見通しとなった。第1四半期の業績は自動車関連を軸とするセラミック事業の低迷で減収だったものの、電子事業の利益急拡大でカバーし、経常利益は73億5200万円と前年同期比で4割を超える大幅な伸びをみせた。電子事業では前期からのパソコン買い換え需要が持続したうえ、データセンター用サーバー向けICパッケージ基板の引き合いが旺盛だった。株価は足もとの好調な業績を背景に、約12年4ヵ月ぶりの高値圏を快走する展開が続く。5G(第5世代移動通信システム)やICTの進展によるICパッケージ基板の更なる需要拡大に伴う中期的な業績成長期待も強い。

●ビーエンジの業績予想は保守的な傾向

ビジネスエンジニアリング <4828>ERP(統合基幹システム)の開発を手掛け、独SAPや米オラクルの製品を活用したシステム導入に強みを持つ。企業によるIT投資ニーズの高まりを追い風に業績拡大基調が続いており、21年3月期は経常利益ベースで5期連続の最高益更新を見込む。直近3ヵ月の4-6月期(第1四半期)は、他社開発ERPパッケージをベースとしたシステム構築や自社開発ERPパッケージ「mcframe」のライセンス販売が伸び、経常利益は7億8100万円(前年同期比65.1%増)と四半期ベースで過去最高を記録。通期計画(16億円)に対する進捗率は5割近くに達する。同社は期中に業績予想を見直すことが多く、上期決算発表時に上方修正することが期待される。

●日特建は上方修正する確率7割の実績

特殊土木大手でダム基礎や地盤改良を主力とする日特建設 <1929> もビジネスエンジニアリングと同様に期初予想を保守的に算出する傾向が強い。業績予想の修正履歴で確認すると、過去10年間のうち実に7回も期中に通期予想を上方修正した経緯がある。21年3月期は利益率の低下を見込み、経常利益ベースで前期比18%減少する計画だが、上方修正する確率7割の実績や上期予想を増額したことを踏まえると、通期上方修正の確度は高いとみられる。なお、上期の経常利益予想は、施工促進や工事採算の改善が利益を押し上げる形で、前回予想の5億円から14億円へ2.8倍も増額している。

●イーグランドは株主還元にも投資妙味

中古再生住宅を販売するイーグランド <3294> は、9月10日に上期の経常利益予想を従来の1億2200万円から5億円へ大幅上方修正した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売鈍化を見込んでいた期初予想に反して、7月と8月は不動産販売が好転し、売上高が計画を大きく上回る見通しとなった。居住用物件の販売増加に加え、利益率の高い大型収益用物件を売却したことも寄与する。修正した上期予想の通期計画に対する進捗率は80%を超えており、業績上振れの公算は大きい。また、今期配当38円(前期と同額)から算出した配当利回りは5%弱と高水準にあり、株主還元の切り口でも注目したい。

●DMソリュは修正した上期予想が通期計画に到達

ダイレクトメールの発送代行を主力とするディーエムソリューションズ <6549> [JQ]の第1四半期(4-6月)業績は、新型コロナウイルスの感染拡大による主力事業の不振を好調なインターネット事業で吸収し、経常利益は1億6000万円に急拡大して着地。外出自粛によってインターネット閲覧時間が伸長するなか、自社で運営するウォーターサーバーや食材宅配などの比較サイトで送客数が増加し、広告収入が大きく伸びた。業績好調を踏まえ、上期の経常利益予想を従来の3800万円から1億9700万円に大幅上方修正したが、通期計画は据え置いた。修正した上期予想と通期計画は同額であり、業績上振れは濃厚とみられる。

●日本MDMは前期に続き通期増額なるか

日本エム・ディ・エム <7600> は第1四半期決算を発表した7月31日に、上期の経常利益を前回予想の1億3000万円から5億3000万円へ大きく引き上げた。国内の人工関節分野と脊椎固定器具分野の症例数の減少が想定より少ないことに加え、新型コロナウイルス患者数の増加率が低下基調にある米国で多くの医療機関が人工関節置換術を再開したことがプラスに働く。また、コロナ禍の影響で日米ともに営業活動が大幅に制限され、販管費の発生が想定を下回ることも利益を押し上げる。前期は上期予想の上方修正後、10月末の中間決算発表と同時に通期予想の増額に踏み切った経緯があり、今期も期待したいところだ。

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