明日の株式相場に向けて=決算シーズン勝利の方程式はあるか
きょう(28日)の東京株式市場は、前日の欧米株がリスクオフの流れに歯止めがかからなかったこともあって売り先行の展開となり、日経平均株価が67円安の2万3418円と3日続落した。しかし、例のごとく後場後半に下げ幅を縮小する展開で相変わらずの底堅さをみせた。米株価指数先物は軟調に推移しており、それにも左右されず売りをこなすところに今の相場の強さがある。また、アジア株市場に目を向けると中国・上海総合指数や韓国KOSPIはプラス圏で推移、香港ハンセン指数も終盤プラス圏に浮上するなど頑強な値動きを示した。新型コロナ感染状況の相違によって欧米とアジアのマーケットが一線を画しているということを印象づける。
きょうは前引け時点でTOPIXの下落率が0.5%を上回ったことで、後場に日銀のETF買い発動の思惑を呼び、これが市場のセンチメントを強くさせた背景となっている。ちなみに日銀のETF買いは9月に1回当たり801億円で7回も買い出動し、購入額は合計で5600億円強に達した。9月よりも肌感覚として10月相場は荒れているようにもみえるのだが、主力株の一角が自然体で踏ん張り全体指数を支え、実際は日銀の出番があまりなかった。前日までの段階で、ETF買い発動は14日、16日、22日の3回のみで購入額も1回当たり701億円に減額されている。仮にきょう買いを入れたとしても購入額は3000億円にも満たない。10月はETF砲が轟かない静かな秋相場となった。
本格化する企業の決算発表で株価もドラスチックに明暗を分けている。よくいわれる「好決算先取りの買い」というのは、実際は期待値の低い投資作戦である。もちろん成功すれば見返りも大きいが、よほど条件が揃わなければリスクも同等に背負うことになる。決算が良くても買われるとは限らないのが相場たるゆえんで、そこまで読み切るのは至難の業だ。
また、決算発表を見てからの参戦もある。市場コンセンサスを上回る好決算を発表すれば、それは翌日の株価のギャップアップスタートにつながる。マドを開けて跳ね上がる株価に飛びつき、勢いのあるうちにひと回転を狙うという忍者もどきの投資手法もあるが、これも運否天賦で勝利の方程式とはなり得ない。基本は好決算銘柄の決算後の値動きを見てから、一呼吸おいてチャートと相談して買い場を探る、というのが最も有効な作戦となる。勝利のセオリーがあるとすれば、それは好決算発表にもかかわらず期待先行で買われた銘柄が反動安に見舞われたケース。目先筋の売りが枯れた後に水準を戻すパターンが多い。また、決算発表が一巡すれば業績数字のみを近視眼的に捉えた相場から離れ、テーマ物色の動きが再燃する。業績をベースに実のある投資を考えるのであれば、そこがスタート地点となる。
あすのスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合の結果発表と黒田日銀総裁の記者会見が行われる。9月の商業動態統計、9月の建設機械出荷額、10月の消費動向調査など。海外では7~9月の米実質GDP(速報値)が注目される。ECB理事会の結果発表とラガルドECB総裁の記者会見も行われる。(銀)