前日に「売られた株!」総ザライ ―本日への影響は?―
■ラクーンHD <3031> 1,964円 (-211円、-9.7%)
東証1部の下落率4位。ラクーンホールディングス <3031> が急反落。11月30日の取引終了後に発表した第2四半期累計(5-10月)連結決算は、売上高21億4900万円(前年同期比28.9%増)、営業利益6億6200万円(同81.4%増)、純利益4億2800万円(同80.7%増)と大幅増益となったが、目先の材料出尽くし感から売られたようだ。長引くコロナ禍における企業活動のデジタル化へのシフトにより、仕入ツールとして「スーパーデリバリー」が定着してきていることが追い風となり、主力のEC事業で「スーパーデリバリー」の流通額が国内海外合わせて前年同期比66.5%増と引き続き大きく増加したことが業績を牽引した。また、フィナンシャル事業でデフォルト率が想定よりも低く推移したことで保証履行額が減少し、売上原価率が大幅に低下したことも寄与した。なお、21年4月期通期の業績予想は、売上高44億5000万円~46億円(前期比28.0~32.3%増)、営業利益11億8000万円~12億7000万円(同67.1~79.9%増)、純利益7億4000万円~8億円(同64.0~77.3%増)の従来予想を据え置いている。
■富士電機 <6504> 3,460円 (-250円、-6.7%)
東証1部の下落率8位。富士電機 <6504> が急反落。11月30日の取引終了後、パワー半導体の特定分野向け一部製品で不具合が見つかった問題について、主要顧客との和解に伴い、損失額が103億円になったと発表しており、これが嫌気された。うち21億円は21年3月期第2四半期以前に費用計上済みで、会計処理及び業績予想への影響は、今後適切に開示するとしている。
■ツクイHD <2398> 560円 (-18円、-3.1%)
ツクイホールディングス <2398> が大幅続落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が11月30日付で、投資判断を「バイ」から「ホールド」とし、目標株価を960円から700円へ引き下げたことが弱材料視されたようだ。デイサービスの利用者数は19年3月期上期(4-9月)ごろまで前年比10%程度の増加を続けていたが、19年3月期下期(10-3月)から伸び率が低下し20/3期には同5%増程度が定着。人件費・建築費上昇による出店鈍化や競争激化、コロナ影響を受け足もとでは前年割れが続いており、こうしたデイサービス利用者数の停滞を受け、レーティングを引き下げるという。また、これに伴いデイサービスの売上高予想を引き下げたことなどで、21年3月期の営業利益予想を49億5000万円から48億円へ、22年3月期を同58億1000万円から57億6000万円へ引き下げている。
■リクルート <6098> 4,273円 (-127円、-2.9%)
リクルートホールディングス <6098> が3日続落。30日取引終了後、既存株主による8611万1300株の海外売り出しと、オーバーアロットメントによる上限861万1200株の追加売り出しを実施すると発表。売り出し株式数は最大で9472万2500株と発行済み株式数の5.6%に及ぶ規模とあって、株式の需給悪化を懸念する売りが向かった。リクルート株を売却するのは、電通グループ <4324> 、凸版印刷 <7911> 、TBSホールディングス <9401> 、日本テレビホールディングス <9404> など計8社。売出価格は12月2日から3日までのいずれかの日に決定される。併せて、発行済み株式数(自社株を除く)の1.21%にあたる2000万株または700億円を上限に自社株買いを実施することを明らかにしたが、こちらへの反応は限定的となった。
■トリケミカル <4369> 13,800円 (-310円、-2.2%)
トリケミカル研究所 <4369> が3日続落。11月30日の取引終了後、21年1月期の連結業績予想について、売上高を91億5000万円から98億円(前期比18.5%増)へ、営業利益を23億7000万円から26億5000万円(同13.9%増)へ、純利益を29億4000万円から33億4000万円(同13.6%増)へ上方修正し、あわせて従来58円を予定していた期末一括配当予想を10円増額して68円にすると発表したが、材料出尽くし感から売られた。主に最先端の半導体に向けた化学材料を中心に、顧客の需要が予想を上回る水準で推移していることが要因という。また、関連会社の韓国SKトリケミの業績が想定以上に好調に推移していることも最終利益の押し上げに寄与する。なお、第3四半期累計(2-10月)決算は、売上高73億3900万円(前年同期比20.0%増)、営業利益22億300万円(同31.7%増)、純利益26億7400万円(同29.6%増)だった。
※1日の下落率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。
株探ニュース