為替週間見通し:下げ渋りか、ECBによるユーロ高けん制でドル売り縮小も

通貨
2020年12月5日 14時20分

【今週の概況】

■ワクチン接種早期拡大への期待で円売り継続

今週のドル・円は下げ渋り。新型コロナウイルス感染症の予防効果のある一部のワクチン接種が近日中に開始される見込みであることから、ユーロ買い・円売りが優勢となり、豪ドル、NZドルなどに対するリスク選好的な円売りも観測された。ドル・円は12月2日の欧米市場で104円75銭まで買われる場面があった。しかしながら、米国におけるウイルス感染の増加を警戒してドル買い・円売りは縮小し、ドル・円は一時103円67銭まで下落した。

12月4日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時104円24銭まで反発した。この日発表された11月米雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を大幅に下回ったことから、ドル売りが一時優勢となった。しかし、追加経済対策のすみやかな成立に向けた取り組みが加速するとの期待が広がり、米長期金利は反転したことから、リスク回避のドル売り・円買いは縮小。ドル・円は104円20銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:103円67銭-104円75銭。

【来週の見通し】

■下げ渋りか、ECBによるユーロ高けん制でドル売り縮小も

来週のドル・円は下げ渋りか。欧州中央銀行(ECB)は12月10日開催の理事会で、政策金利を据え置く公算だが、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の期間延長などを含めた一段の緩和を進める方針とみられる。また、ユーロ・ドルは2018年4月以来のユーロ高水準となっていることから、ラガルドECB総裁は会見でユーロ高に対する懸念を表明する可能性がある。リスク選好的なユーロ買い・米ドル売りが縮小した場合、ドル売り・円買いの取引は縮小するとの見方が多く、ドル・円は103円台で下げ渋る展開が予想される。

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)は今月15-16日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で現行の金融政策を維持する見通し。11月開催の議事要旨から資産購入プログラムの対象年限の長期化が議論されており、長期金利の上昇は抑制される可能性がある。ガイダンス強化を織り込む動きが市場で広がった場合、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとみられている。

【米・11月消費者物価指数(CPI)】(10日発表予定)

10日発表の11月消費者物価指数(CPI)は前年比+1.1%、コア指数は同+1.5%とインフレ率は10月実績をやや下回る見通し。市場予想を下回った場合、連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和観測はやや強まり、ドル売り材料となる可能性がある。

【米・12月ミシガン大学消費者信頼感指数】(11日発表予定)

11日発表の米12月ミシガン大学消費者信頼感指数は76.3と、11月の76.9からやや低下する見通し。市場予想と一致、または下回った場合、景気減速への懸念が広がり、ドル売り材料となる可能性がある。

予想レンジ:102円50銭-105円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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