国内外の感染状況など引き続き懸念/後場の投資戦略

市況
2020年12月7日 12時16分

日経平均 : 26645.23 (-106.01)

TOPIX  : 1767.55 (-8.39)

[後場の投資戦略]

先週2日の当欄では、任天堂<7974>を例にとり、企業の変化について考えてみたが、コロナ禍が促す変化は企業にとどまらない。世界の勢力図さえ変えてしまうかもしれない。少し前になるが、11月18日に日本政府観光局から発表された10月の訪日外国人客数は推計で前年同月比98.9%減の27400人。主要国からの訪日が軒並み99%前後の減少となる中で少し目を引いたのが、前年同月比86.7%減と減少率が唯一80%台にとどまったベトナム。今年10月の来日数は6200人で、中国の4500人、韓国の2000人を上回り世界で最も多かった。ベトナム、韓国、シンガポールの3カ国は短期ビジネス往来が逸早く再開された影響もあるのだろうが、やや意外感はある。

統計発表の翌19日の日本経済新聞には「ベトナム、成長率一人勝ち」の見出しが躍った。ベトナムの7-9月期実質GDPは前年同期比2.6%増と、4-6月期に続きプラス成長となり、20年中に名目GDPでシンガポールやマレーシアを抜きそうだとしている。厚労省の統計によると昨日までのベトナムの新型コロナ感染者は1365人、死亡者は35人。人口1億人弱の国でこの少なさは驚異だ。コロナの抑え込み成功が、順調な経済成長の要因の一つとなっているのだろう。

世界の勢力図ということになれば米中関係を抜きには語れないが、ベトナム政府傘下の通信最大手はファーウェイの5G機器を排除するもようだと伝えられている。また、日中韓首脳会談見送りが報じられた先週4日の日本経済新聞の紙面には、日米両政府がベトナムの脱炭素化支援で連携するとの記事が載った。そう言えば菅首相、就任後最初の訪問国はベトナムとインドネシアだった。年内はこの2カ国以外に訪問予定はない。

こう見てくると、コロナ禍の中で、世界の勢力図はすでに変わり始めているようにも思える。株式市場の言葉で言えば、ベトナムはバリュー株からグロース株へ分類が変わりつつあるということか。この日本はどうだろう。この件、もう少し考えてみたいが、例によって紙面の都合で次の機会に回す。

さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。このところの上げ相場に乗り遅れた投資家の買いが想定される一方、日経平均は25日移動平均から4%超の上方乖離で高値警戒感も継続しており、上値、下値とも探りにくい地合いとなっており、次第に様子見気分が広がる可能性もある。また、前場のTOPIXの下落率は0.47%で、日銀によるETF買いの思惑は働きにくいと見られる。(小山 眞一)

《AK》

提供:フィスコ

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