為替週間見通し:伸び悩みか、米金融緩和策長期化の思惑残る
【今週の概況】
■新型コロナウイルスの感染拡大でドル上げ渋り
今週のドル・円は上げ渋り。バイデン次期米大統領が大規模な追加経済対策案を発表したことから、景気回復への期待は持続したが、米国の政治不安や新型コロナウイルスの感染拡大を警戒して長期金利の上昇は一服。ドル・円は1月11日に104円40銭まで買われたが、103円台半ばまで下げる場面があった。
15日のニューヨーク外為市場でドル・円は103円64銭まで下落後、103円91銭まで戻した。この日発表された12月小売売上高は3カ月連続で減少し、ドル売りが活発となったが、バイデン次期米大統領が提示した1.9兆ドル規模の追加経済対策への期待を受けたドル買いが観測されたことでドルは下げ渋った。ドル・円は103円89銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:103円53銭-104円40銭。
【来週の見通し】
■伸び悩みか、米金融緩和策長期化の思惑残る
来週のドル・円は伸び悩みか。バイデン新政権発足によって米国経済の持ち直しが期待されており、長期金利は1%を上回る状態が続いている。ただ、今後発表される10-12月期の米主要企業決算が市場予想を下回った場合、米国株式は弱含みとなり、リスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。
民主党のバイデン氏は1月20日、第46代の米大統領に就任する。上下両院を民主党が多数派を占めることから、円滑な政策運営が期待されている。1.9兆ドル規模とみられる追加経済対策は国債増発要因となるが、同時に米長期金利の上昇要因となることから、ドル買い材料となり得る。
ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日の講演で、本格回復に慎重な見方を示し、緩和的な金融政策の長期化を堅持する考えを述べた。それにより、目先はドル買いが抑制されよう。新型コロナウイルスの感染被害が拡大していることもドルの上昇を抑える一因となりそうだ。ワクチン接種拡大への期待は失われていないが、今年1-3月期における米国経済の減速懸念は根強く、米国株式が下落し、長期金利が節目の1%を下回った場合、ドルの上値はやや重くなりそうだ。
【米大統領就任式】(1月20日)
1月20日に行われる米大統領就任式を経て、バイデン政権が正式に発足する。現時点では大型投資への期待感から株高が続いており、長期金利が上昇基調を維持できればドル高・円安の地合いとなる可能性がある。
【米・1月フィラデルフィア景況調査】(21日発表予定)
21日発表の1月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は12.6と、前月の11.1から改善が見込まれる。経済制限強化の影響で伸びが鈍化すれば、回復期待のドル買いは後退する見通し。
予想レンジ:102円00銭-105円00銭
《FA》