S&P500 月例レポート ― 荒れた2020年、コロナショックに打ち克ち上昇 (1) ―
S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
●THE S&P 500 MARKET:2020年12月
個人的見解:S&P 500指数は16.26%上昇して波乱の2020年を終えた
個人的見解を述べると、筆者はただの計算屋です。点と点を結び、何らかの見解をまとめ、将来起こり得るシナリオを統計に基づいて提示しているつもりですが、マーク・トウェインが述べたように、嘘には「普通の嘘、真っ赤な嘘、そして統計」の3種類があります。新型コロナウイルスの感染状況、治療法、消費者や企業の反応、また政策対応の影響(財政、ウイルスに対する認識と共に)に関する予想は他の専門家に任せるつもりですが、統計は、これまで43年以上にわたり当社で見てきたように、私たちが予想利益に多くの対価を支払っていることを示しています ―― たとえ予想通りの利益が達成されるとしても。
具体的には、2021年は治療法が確立されて感染拡大やそれに伴う経済閉鎖の影響が十分に抑えられ、過去最高に達すると予想(営業利益のコンセンサス予想)されていますが、それでも予想PERは23倍となっており、過去12ヵ月の利益に基づくPERは30倍です。過去最高益が実現したとしても、1年先にPER 23倍という結果を当社は予想しておらず(予想の場合は大幅に低い数字にはならないものですが)、プレミアムの多くが異例であることの根拠となっています。おそらくコロナ後のニューエコノミーがそれを証明するでしょう。計算屋の筆者は足元のデータに執着し過ぎているのかもしれません。したがって、経済情勢やイベントを踏まえると素晴らしく見える水準を正当化して設定する役目は、市場に任せることにします。
S&P 500指数は、2020年2月19日にコロナ前の終値ベースの最高値(3386.15)を付けて以降、終値ベースの過去最高値を20回更新し(3756.07の最高値で年を終えるまで年初来で33回最高値を更新。最高値で年末を終えたのは1928年以降8回目)、コロナ前の高値から10.92%上昇、年初来で16.26%上昇(配当込みで18.40%上昇)して2020年を終えました。ちなみに、2019年の上昇率は28.8%(同31.49%)でした。素晴らしいとしか言いようがありません。
2020年を振り返ると、市場は「とんでもなく荒っぽい」展開となり、弱気(2月19日~3月23日に33.93%下落)と強気(3月23日の安値から67.88%上昇)の両方の相場を経験しました。下落も上昇も市場全体が一様に動いたのではなく、パンデミックによる景気の急激な変化でほぼ事業活動が停止したセクター(旅行、ホテル、実店舗など)があった一方、「巣ごもり」関連の財やサービスは消費者や企業のニーズを捉え、大いに恩恵を受けました。こうした格差が市場を「頭でっかち」にしており、時価総額上位10銘柄が全体に占める割合は27.4%と、2019年末の22.7%、2018年末の21.0%から上昇しました。背景には一部の銘柄が市場を支配していることがあり、2020年のS&P 500指数のトータルリターンの53%超をApple、Amazon、Microsoftが占めています。同指数の2020年のトータルリターン18.40%はこれら3社を除くと8.60%になり、寄与上位30銘柄を除くと指数のリターンは-0.03%とマイナスに転じます。ただし、回復のすそ野は徐々に広がっており、市場が2桁の急上昇を演じた11月には、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回りました。
セクターごとのばらつきは大きく、エネルギーは37.31%下落し、情報技術は42.21%上昇し、その差は80%となりました。これはIT株が急騰した1998年と1999年、そしてその後ITバブルが崩壊した2000年以降、見たことのない水準です(2000年は92.64%、1999年は95.02%、1998年は85.62%)。指数内の「シフト」(と呼ぶ向きもあります)を明白に示す統計データの1例として、42銘柄が配当支払いを停止したことが挙げられます(その前に最後の1銘柄があったのは2017年で、2008年~2009年の景気後退期では32銘柄)。一方で、2020年には配当支払額は(実際のところ)過去最高を更新し、前回過去最高を付けた2019年の58.24ドルから58.28ドルに0.07%増加し、パンデミック後(第2四半期~第4四半期)に155銘柄が増配しましたが、平均増配率は2019年の9.80%から8.34%に低下しています。
S&P 500指数は12月に3.71%上昇して3756.07で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス3.84%)。11月は3621.63で月を終え、10.75%の上昇(同プラス10.95%)、10月は3269.96で月を終え、2.77%の下落(同マイナス2.66%)となりました。過去3ヵ月間では11.69%上昇(同プラス12.15%)、2020年1年間では16.26%上昇(同プラス18.40%)、コロナ前の2月19日の終値での高値からは10.92%上昇しました(同プラス12.68%)。ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は12月に3.27%上昇して3万0606.48ドル(終値での最高値)で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス3.41%)。11月は2万9638.64ドルで月を終え、11.84%の上昇(同プラス12.14%)、10月は2万6501.60ドルで月を終え、4.61%の下落でした(同マイナス4.52%)。過去3ヵ月間では10.17%上昇(同プラス10.73%)、2020年1年間では7.25%上昇となりました(同プラス9.72%)。
過去の実績を見ると、12月は72.8%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は2.94%、下落した月の平均下落率は3.08%、全体の平均騰落率は1.30%の上昇となっています。2020年12月は3.71%の上昇となりました。
1月は63.0%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.27%、下落した月の平均下落率は3.85%、全体の平均騰落率は1.22%の上昇となっています。
今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)のスケジュールは、2021年1月26日-27日、3月16日-17日、4月27日-28日、6月15日-16日、7月27日-28日、9月21日-22日、11月2日-3日、12月14日-15日、2022年1月25日-26日となっています。
※「荒れた2020年、コロナショックに打ち克ち上昇 (2)」へ続く
株探ニュース