明日の株式相場に向けて=2つの不透明感と“2月警戒論”
きょう(26日)の東京株式市場は売り圧力の強い地合いで、日経平均株価は276円安の2万8546円と反落した。
前日に日経平均は2万8800円台まで上値を伸ばし高値引けとなり、30年半ぶりの高値圏浮上と威勢は良かったが、最近の値運びを振り返ると、前週の初めから日替わりで上昇と下落を繰り返し、ややダッチロール気味の動きではあった。目先高値警戒ムードも拭い切れず強弱感が拮抗している。新型コロナウイルスの感染拡大やワクチン普及を巡るネガティブな思惑、あるいは政局絡みの買い手控え材料はあっても、これまではそういったタイミングで戦略的に空売りポジションを積み上げた場合ことごとく踏まされる(買い戻しを強制される)ケースが繰り返されてきた。今回も過剰流動性が下支えとなって、何事もなかったかのように日経平均は再び3万円大台を目指すことになるのかもしれない。しかし、市場関係者の間で“2月警戒論”は根強い。1月の実質最終売買日をあすに控え、買いポジションを低めておきたいという投資家心理は理解できる。
きょうの日経平均株価は後場に入って一段安を強いられた。中国をはじめ香港、台湾、韓国などアジア株市場の下げが顕著で、米株価指数先物も下値模索の展開となっていることも市場のセンチメントを冷やした。前日の当欄で日銀のETF買いが事実上のテーパリングモードとなっていることに触れたが、きょうは前引け間際にETFブロッカーと呼ばれるヘッジファンドの買いが入り、前引けはTOPIXが0.49%安と0.5%安にわずか0.01%届かなかった。
ETF買いの目処とされるTOPIX0.5%安に紙一重で届かなかったため、これでETF砲は不発との見方が広がり後場の下げを助長したという。もしこれが事実なら日銀のETF買いもAIに弄(もてあそ)ばれていることになるが、結果的に出遅れた投資家に押し目買い場を提供しているという見方もできる。
やはり問題は米国株市場の動向である。FOMCの結果とパウエルFRB議長の記者会見はマーケットに対しおそらく100%ポジティブであると思われるが、1兆9000億ドルの追加経済対策については不透明感が漂う。一度は市場が歓喜したはずの経済対策だけに、ここで再びモヤモヤさせられるのは買い気が削がれる。前週に米バイデン政権が発足したが、上院を民主党が制したといっても上回っているのは副大統領の1票分に過ぎず、決して前途洋々、眼前がブルーウェーブで染まっている状況とはいえない。今後も上院定数100のうち60が必要となるケースではそう簡単に事は進まない。
もう一つの不透明感はワクチンの普及に対するものだ。米製薬大手のメルクが新型コロナワクチンの開発を中止することが伝わり、これが今後の普及シナリオに影響を与えることになりかねない。2月は第1週に米国の重要経済指標発表が目白押しで、「これもコロナの影響で、コンセンサスを下回る数字のオンパレードとなる可能性もあり得る」(中堅証券アナリスト)という声がある。いったんは下値を探る展開も考えておくところか。ただし、下げればそこは拾い場となる。繰り返しになるが、新型コロナが猖獗(しょうけつ)を極める間は相場の大勢トレンドに変化は生じない。超金融緩和環境が担保されるからだ。
個別では、前週に取り上げたオプトラン<6235>が5連騰で上値指向を鮮明としている。とはいえ1年タームの週足をみれば、まだ戻り初動であることが分かる。5Gの商用サービスが本格化し、テーマとしても現実買いの段階にあるが、そのなか同社の光通信用光学薄膜装置の新モデルはこれから佳境入りとなりそうだ。同様に5G関連で山王<3441>も注目。
ゲーム関連ではエイチーム<3662>が強い。また、セルロースナノファイバーの星光PMC<4963>や与信クラウドを展開するリスクモンスター<3768>。ドローン関連では、双葉電子工業<6986>やイメージ ワン<2667>などに改めて目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、20年11月の景気動向指数改定値が後場取引時間中に開示。海外では1~12月の中国工業企業利益のほか、12月の米耐久財受注額の発表が予定されている。また、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見が注目される。(銀)