来週の株式相場に向けて=米ロビンフッダーの動向に一喜一憂も

市況
2021年1月29日 17時35分

1月第4週の日経平均株価は前週末に比べ986円(3.4%)安と5週ぶりの下落となった。昨年11月以降、急激な上昇を演じてきただけに、利益確定による調整色が強まった格好だ。相場の調整には違和感はないものの、市場関係者からは「意外なところから調整要因が現われた」と驚きの声が上がっている。

「ロビンフッダー」と呼ばれる米国の手数料無料のオンラインブローカーを通じて活発に取引する個人投資家の投機的売買が、相場の波乱要因となっている。具体的には空売り投資家として著名な米シトロン・リサーチが売りを仕掛けたゲームストップ株などに対して、個人投資家集団のロビンフッダーが買い攻勢をかけ、ショートスクイーズ(損失覚悟の買い戻し)が発生するなか、ゲームストップの株価は急騰。昨年末18ドル前後だった株価は一時483ドルまで急伸したが、ロビンフッドなどブローカーが同銘柄の取引を制限したことから28日に193ドルまで急落した。しかし、取引制限に対しては個人投資家を犠牲にする行為として批判が殺到、ロビンフッドは29日に制限つきで取引を認めることを発表した。これを受け時間外取引でゲームストップの株価は急伸しており、なお予断を許さない状況だ。

個人投資家集団が投資ファンドを締め上げるというのはいままでにない構図であり、「状況次第ではこれからの相場の新たなかく乱要因となり得る」(市場関係者)との声もある。とはいえ「ヘッジファンドが相場のボラティリティーを高めたのに過ぎないように、ロビンフッダーも相場のトレンドそのものを変えるものではない」(アナリスト)ことは確認する必要がある。足もとの動きも相場の調整のきっかけに過ぎないだろう。日米の企業決算は堅調であり、来週5日の米1月雇用統計を確かめる必要があるものの、調整局面で売られた好業績株は長い目では格好の拾い場となりそうだ。

来週は1日に任天堂<7974>やレーザーテック<6920>、2日にパナソニック<6752>、3日にソニー<6758>、4日に三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、5日に三井不動産<8801>などの決算が発表される。7日が緊急事態宣言の期日となる。米国では2日にアマゾン・ドット・コム、アルファベット(グーグル)が決算発表を行う。また1日に米1月ISM製造業景況感指数、3日に米1月ADP雇用統計が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7000~2万8400円。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS

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