米国株式市場見通し:金融システムリスクを注視
来週は、引き続き投機の過熱状況や流動性リスクに注意が必要だ。金融安定リスクを警戒し上げ渋る展開となりそうだ。歴史的な低金利の資金があふれ短期的な投機につながっており、一部ではバブル懸念も浮上しているようだ。一部の空売り投資家は損失が嵩み営業停止のリスクにも直面しているという。追加証拠金の支払いのために利益が出ている株式売却を進めるため金融システム全体のリスクにも繋がりかねない。1998年に起った大手ヘッジファンドLTCMの実質破綻が巻き起こした金融危機のようなシステムリスクには注意したい。
一方で、成長のカタリストとなるワクチン普及の加速はプラス材料となる。製薬会社のジョンソン・アンド・ジョンソンが開発中のワクチンは1回接種で済むことや大量生産が可能となることから、供給ペースが一気に進む。当局により、速やかに承認された場合、成長見通しが急速に改善し、景気循環株を支援することになりそうだ。さらに、カリフォルニア州やNY州など大きな州が厳格な規制を緩和する計画であることも回復期待を支援することになりそうだ。
経済指標では、1月ISM製造業景気指数(1日)、1月ADP雇用統計、1月ISM非製造業景況指数(3日)、週次新規失業保険申請件数、12月製造業受注(4日)、1月雇用統計、12月貿易収支(5日)などが予定されている。特に雇用統計では、前月減少に落ち込んだ雇用者が予想通り増加回復できるかどうかに注目したい。新型コロナウイルス感染が収束せず、厳格な規制が維持されたままで経済活動の再開はままならず企業は従業員の削減に踏み切らざるを得ない状況が続いている。
企業決算では、主要ハイテクで アマゾン、アルファベット(2日)、オンライン決済のペイパル、半導体メーカーのクアルコム(3日)、写真・動画共有アプリのスナップ(4日)、ヘルスケア・バイオでファイザー(2日)、ギリアドサイエンス(4日)、リジェネロン(5日)が予定されているほか、エネルギーのエクソン・モービル(2日)、食品のヤムブランズ(4日)、ファーストフードチェーンのチポトレ(2日)、貨物運送のUPS(2日)や化粧品メーカーのエスティ?・ローダー(5日)などが予定されている。在宅の恩恵を多く受けさらに年末商戦がカタリストとなりアマゾンは純売上前期比38%増近くが予想されているほか、アルファベットもクラウドビジネスが奏功し7-9月期に続き好決算が期待できそうだ。そのほか、オンラインビジネス絡みの需要急増でUPSも強い結果に期待したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》