為替週間見通し:底堅い値動きか、安全逃避のドル買い継続の可能性
【今週の概況】
■安全逃避的なドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。1月26-27日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で金融政策の現状維持が予想通り決定されたが、欧米株安を警戒してユーロ、豪ドル、新興国通貨に対するドル買いが強まり、この影響でドル買い・円売りが優勢となり、29日の欧州市場で一時104円94銭までドル高・円安が進行した。
29日のニューヨーク外為市場でドル・円は104円62銭から104円85銭まで反発した。この日発表された12月コアPCE価格指数や1月MNIシカゴ購買部協会景気指数(PMI)は市場予想を上回り、長期債利回りの上昇に伴うドル買いが優勢となった。ドル・円は104円71銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:103円56銭-104円94銭。
【来週の見通し】
■底堅い値動きか、安全逃避のドル買い継続の可能性
来週のドル・円は底堅い値動きか。1月米雇用統計など経済指標が低調な内容だった場合、米国の景気回復に不透明感が広がりそうだ。株式市場で調整売りが強まるなか、安全逃避的なドル買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。1月26-27日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、現行の金融政策を維持することが決まった。一部が期待していた資産買入れの規模縮小については見送られ、緩和的な金融政策の長期化方針が示された。
FOMC声明やパウエルFRB議長の記者会見で成長と雇用に関し、回復の遅れについて強い懸念が示され、今後は経済指標や企業業績などがクローズアップされる見通し。特に、2月5日発表の1月雇用統計内容が予想を下回った場合、先行きへの警戒感が広がりそうだ。雇用関連では、1月ISM製造業景況指数の雇用指数やADP雇用統計も合わせて材料視される。
ただ、欧州中央銀行(ECB)当局者からユーロ高けん制発言が相次ぎ、ユーロには下押し圧力がかかりやすいだろう。また、イタリアやオランダなどの政局リスクは根強いこともユーロ売り材料となり、ユーロ安・ドル高が続いた場合、ドル安・円高の進行を抑制する可能性がある。
【米・1月ISM製造業景況指数】(2月1日発表予定)
2月1日発表予定の米1月ISM製造業景況指数は60.0と、12月の60.7をやや下回る見通し。コロナまん延で制限措置の強化による影響が示されるが、市場予想とおおむね一致すれば、米国株安・ドル買いは限定的となりそうだ。
【米・1月雇用統計】(2月5日発表予定)
2月5日発表予定の1月雇用統計は失業率6.7%(12月は6.7%)、非農業部門雇用者数は前月比+5.0万人(同-14.0万人)、平均時給は前年比+5.1%(同+5.1%)の見通し。雇用者数は12月に減少した反動で小幅な増加となる見込み。
予想レンジ:103円50銭-106円00銭
《FA》