来週の相場で注目すべき3つのポイント:マザーズIPO2社、各国PMI、米小売売上高
■株式相場見通し
予想レンジ:上限29900-下限29000円
来週の日経平均は引き続き堅調な展開が想定される。日経平均は今年に入ってから既に2000円超の上昇を見せており、2月5日からの直近5営業日だけでも1000円ほどの大幅上昇となっている。大幅高の背景となった主力企業の10-12月期決算発表が一巡したことで、目先は新規材料難となり、ここからの日経平均は3万円の大台を前にしばらく上値の重い展開となりそうだ。
ただ、大勢強気ムードは保持され、上値が重い一方で下値も堅い相場展開となることが予想される。これだけ急ピッチで上昇してきたため、通常であれば急騰後の2、3日は利益確定売りに押される場面があっても不思議ではない。しかし、5日と週明け8日の2日間で合計1000円超も急伸した日経平均は、翌9日、10日と少しでも下がったところがあれば即座に切り返す底堅い動きを見せ、結局両日とも上昇して日足チャートは陽線を形成。さらに週末も底堅さを見せた。買い遅れた投資家は依然として多数存在していると思われ、日経平均は引き続き堅調な値動きが見込まれる。
また、10日には連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が「緩和的な金融政策を忍耐強く続けることが重要」との見解を示したことで、株式市場の支えとなる潤沢な流動性もしばらくは継続する見込みとなった。大規模な財政政策と金融緩和、ワクチン普及ペースの加速、こうした良好なマクロ環境に加え、今回の主力企業の良好な決算でファンダメンタルズの裏付けも得られた。足元は好材料が多く揃う一方で特段の売る材料が見当たらない。総楽観的なムードというのはいささか危険だが、目先は強気相場に付いていくのが得策といえよう。
昨年の米大統領選以降、年末にかけて日本株を大きく買い越してきた海外投資家だが、2020年はそれでも累計で6兆円もの売り越しだった。さらに遡ると、2019年は2.7兆円の買い越し、その前の2018年は13.2兆円の売り越しであり、直近3年にわたる海外投資家の日本株売買動向は差し引き16兆円ほどの大量売り越しだ。日本株は「世界の景気敏感株」と呼ばれ、景気回復局面では海外投資家が真っ先に目を向ける投資対象とも言われている。足元の業績回復を受けて、アナリストの業績予想の上方修正数から下方修正数を引いたリビジョンインデックスは急速にプラス幅を増してきている。世界経済と企業業績の回復が見込まれる2021年、これまで大量に日本株を売り越してきた海外投資家の買い余力がまだ大いに残されていることを考慮すれば、日経平均の3万円越えも時間の問題といえよう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。新型コロナウイルスの感染流行は米国経済に強い打撃を与えていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)は景気回復について慎重姿勢を保っている。パウエルFRB議長は2月10日の講演で、コロナ感染の拡大による景気回復の遅れを指摘し、改めて緩和的な金融政策の長期化方針を述べた。ただ、株式市場では追加経済対策への期待は持続しており、米長期金利は上昇していることから、リスク回避的なドル売り・円買いは抑制されるとみられる。
来週発表予定の経済指標では、1月小売売上高が注目されそうだ。12月に減少した反動で1月はやや高い伸びとなる可能性がある。市場予想を上回って改善した場合、ドル買い材料となりそうだ。なお、欧州中央銀行(ECB)当局者は域内経済について、中長期的な持ち直しの可能性に言及しながらも、金融緩和政策の必要性を強調している。ユーロ圏経済の回復は4-6月期以降になるとみられており、早期回復への期待は高まっていない。ユーロ売り・米ドル買いが優勢となった場合、ドル・円の取引でもドル買いが増える可能性があるので注意したい。
■来週の注目スケジュール
2月15日(月):日・GDP速報値(10-12月)、日・鉱工業生産(12月)、米・株式市場は祝日のため休場(プレジデンツデー)など
2月16日(火):欧・ユーロ圏GDP改定値(10-12月)、独・ZEW期待指数(2月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(2月)など
2月17日(水):日・コア機械受注(12月)、米・小売売上高(1月)、米・鉱工業生産指数(1月)、米・NAHB住宅市場指数(2月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月26-27日)など
2月18日(木):アクシージアが東証マザーズに新規上場(公開価格:1450円)、米・住宅着工件数(1月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(2月)を発表など
2月19日(金):日・製造業/サービス業PMI、WACULが東証マザーズに新規上場(公開価格:1050円)、欧・ユーロ圏製造業/サービス業PMI(2月)、米・製造業/サービス業PMI(2月)など
《YN》