富田隆弥の【CHART CLUB】 「3月を控えて慎重姿勢」
◆日経平均株価は2月15日に「3万円」の大台を取り戻し、16日には30年半ぶりの水準を3万714円に伸ばした。チャート的には過熱警戒感が募るが、「もうはまだなり」の展開が続く。金融緩和と財政出動を背景にした金融相場は強く、市場関係者の間にはさまざまな要因を並べて「バブルではない」「まだ上がる」といった論調が目立つ。だが、「もうはまだなり」という言葉が出てくること自体、「まだはもうなり」が近づいていることの証でもある。
◆過熱を示すテクニカル指標が増えてきた。騰落レシオやRCI(順位相関指数)のほかに、サイコロジカルラインの9勝3敗75%(16日時点)、200日移動平均線のプラス乖離26%(同16日)、信用残評価損率の-8.0%(同12日)なども加わる。
◆日経平均の月足チャートはナベ底波動を描いて30年前の水準を一気に取り戻す流れだが、直近の大きく腰を伸ばす上昇ぶりは「仕上げ局面」を感じさせる。週足チャートは、昨年3月のコロナショックで2万4100円近辺から1万6358円まで約7700円下げたが、その倍返しとなる3万1800円水準に近づいてきた。
◆前回も触れた如く「そろそろ一服」というイメージは抱いておきたい。金融相場だけに大きな調整は想定しづらいが、3月は彼岸に向けて調整アノマリー(経験則)があるだけに、少々厳しい調整になる可能性もある。チャート分析を生業(なりわい)とする者としては慎重な対応を提言したいところだ。
(2月18日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース