20期連続増配や8期ぶりの最高益更新などバリュー、グロースの双方で注目材料(和島英樹)
「明日の好悪材料Next」~第39回
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
2月12日~18日は決算発表の最終盤。12月本決算のユニ・チャーム<8113>は増収増益で着地、今期も増収増益と20期連続の増配を計画する。またEC(電子商取引)関連のEストアー<4304>は今21年3月期業績を上方修正し、8期ぶりで売上高、営業利益の過去最高を更新へ。
2月12日分 Eストアー<4304>
■好悪材料~今期経常を一転90%増益へ上方修正・8期ぶりの最高益更新へ
EC(電子商取引)の総合支援サービスを展開。中小企業や個人事業主など向けにWeb店舗の開店や運営の支援サービス、販促ツールなどを提供。
2021年3月期の第3四半期累計(20年4月~12月)の業績を発表、同時に通期業績を上方修正した。
第3四半期累計の売上高は77億6600万円(前年同期比2.1倍)、営業利益は6億5700万円(同73.9%増)となった。
大幅増収の一因には、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、EC支援のニーズ拡大も追い風になっていることがある。また前期に買収した2社の寄与もある。
同社は19年12月にECサイト構築ソフトウエア開発・販売のコマース21(東京都港区)をZホールディングス<4689>傘下のヤフーから買収、また20年2月に販促サービス分野強化のためにウェブクルーエージェンシー(東京都港区)の連結子会社化した。2社の買収で、大企業から中小企業まで幅広く、顧客ニーズに対応する体制が整ったとする。
通期業績の上方修正については、売上高を前回予想から6億9500万円上乗せの103億4000万円(前期比2.1倍)、営業利益を同4億2200万円増額の8億2000万円(同71.5%増)とした。1株利益67.2円を計画している。
■『株探』プレミアムで確認できるEストアーの四半期決算の成長性推移
Eストアーによれば、同社グループの事業領域である国内のBtoC(消費者向け)のEC市場は、年率10%を超える高い成長率で推移しつつも、EC化率は世界各国に比べてまだ低いことや、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を積極的に推進していることから「中期的な成長が期待できる環境にある」とする。
ECには、「ZOZOTOWN」や「アマゾン」などのモール型ECと、自社で行うECがある。前者はモールの知名度が高く集客効果はあるものの、軒下販売であり、顧客データを収集することはできない。また、手数料が発生するほか、モール内での競争で価格競争になりやすく、利益率が下がる傾向がある。
一方、自社ECでは公式サイトでの直販ダイレクトマーケティングなので顧客リストは自社のものとなり、利益率も高い傾向がある。サイトの構築と運営に手間がかかり、自力での集客と販売には努力がいるという2つの課題がある。この2つの課題を解消するのがEストアーの事業領域となっている。
2月15日分 ユニ・チャーム<8113>
■好悪材料~今期税引き前は22%増で2期連続最高益、4円増配へ。また、発行済み株式数(自社株を除く)の0.67%にあたる400万株(金額で160億円)を上限に自社株買いを実施する
国内紙おむつ、生理用品、ペットケアで国内首位級。アジアのほか、中東やアフリカ、インドなどでもシェアを拡大している。海外売上比率は約7割に迫る水準。
2020年12月期の通期業績を発表、売上高は7274億7500万円(前年比1.9%増)、本業の利益であるコア営業利益は1147億(同27.8%増)となった。
国内でマスクなどの衛生関連用品やペットケア商品の需要拡大がけん引。海外は新型コロナ影響でインドやインドネシア、タイなどの地域でのロックダウンの影響はあったものの、中国での生理用品の好調持続や、アジアでの紙おむつが2ケタ成長、北米でのペットケアは拡大で増益となった。
21年12月期の計画は、売上高が過去最高更新の7700億円(前期比5.8%増)、コア営業利益についても同1190億円(同3.7%増)とする。
1株利益125.1円、配当は前期比4円増配の年36円(うち中間配当18円)の計画で、配当は20期連続の増配(決算期変更を加味)となる。
今期はマスクやウェットティッシュが国内の増加に加え海外展開も視野にいれて供給体制の強化を図る。紙おむつでは、アジアのほか、アフリカや南米などでの拡大を狙う。前期に工場火災の影響を受けたインドでも供給力が回復する見通し。
ペットケアでは北米で日本の技術を搭載した猫のおやつなどを専門店ほか、eコマースなどで販売網の拡大を図るとしている。
■『株探』プレミアムで確認できるユニ・チャームの通期業績の成長性推移
2月16日分 ブリヂストン<5108> ~ ☆テクニカル・チェック銘柄
■好悪材料~今期最終は黒字浮上、前期配当を5円増配・今期は20円増配へ
タイヤ業界で世界首位。米ファイヤストンの買収で飛躍。世界26か国に生産・開発拠点。鉱山車両用の大型タイヤにも展開している。
20年12月期の業績は、売上高に相当する売上収益が2兆9945億2400万円(前年比14.6%減)、調整後営業利益2229億3200万円(同35.0%減)となった。
新型コロナ感染拡大による世界的な景気低迷でタイヤ需要が落ち込んだ。海外工場の減損計上や構造改革費用もあり、最終損益は233億100万円の赤字となった。ただ、想定よりも需要が回復しているとして、2月9日に売上収益、調整後営業利益は上方修正している。
21年12月期は営業収益3兆100億円(前期比0.5%増)、調整後営業利2600億円(同16.6%増)、1株利益370.6円を計画している。タイヤ需要の回復を見込む。為替前提は1ドル103円、1ユーロは126円。年間配当は前期比20円増配の130円(うち中間配当60円)とする方針。
併せて発表した中期経営計画では、2023年に売上収益3兆3000億円、調整後営業利益4500億円、営業利益率13%のレベルを目指すとしている。
■『株探』プレミアムで確認できるブリヂストン<5108>の通期業績の収益性推移
株価チャートをチェックすると、月足の一目均衡表チャートでは、雲のように見える抵抗帯に差し掛かっている。抵抗帯の上限(先行スパン1)は4519.5円、下限(先行スパン2)は4347円(いずれも19日現在)となっており、いずれもが抵抗価格として機能している。
今月に入り突破をトライしたが、ローソク足は「上ヒゲ」を引く形で押し返されている。一方、転換線3788円、基準線3797.75円(同)がそれぞれサポート価格に。当面はもみ合い相場になる可能性もありそう。
一目均衡表はローソク足と基準線、転換線、遅行線、先行スパン1および2の5つの線で形成し、2つの先行スパンの間で形成される雲(抵抗帯)の厚みやローソク足の位置などを見て今後の株価の動きを予測する指標。
■ブリヂストンの月足チャートの一目均衡表
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。