「デジタルライブ関連株」に熱視線、コロナ禍のなか新地平切り拓く <株探トップ特集>
―エンターテインメント業界に新旋風も、リアルとオンラインの融合で人気化―
コロナ禍で大きな影響を受けた産業の一つが、エンターテインメント業界だ。外出自粛により映画館などは一時休館が相次ぎ、スポーツや音楽ライブなどのイベントも中止を余儀なくされる動きが続いた。しかし、その一方で、ネットフリックスやユーチューブなど「動画サイト」は大きな人気を集めている。なかでも、新たな需要を獲得しているのが「デジタルライブ」の市場だ。エンターテインメント業界の新潮流を探った。
●娯楽産業への打撃は大きいが「おうち時間」に新たな可能性
エンターテインメント業界は新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を被った。スポーツ、音楽ライブ、映画、ミュージアム、テレビ番組、動物園、公営競技など、あらゆる分野が無観客、延期・中止などの対応を余儀なくされ、いまもコロナ前の状態にまで回復するには遠く及ばない状態だ。しかし、このような状況下だからこそ、一刻も早く業界に活況を取り戻そうと関係者はさまざまな知恵を絞っており、まさにアフターコロナ時代に向けて動き出している。「おうち時間」という言葉も生まれたように、コロナ禍の中では必然的に家にいる時間が増えており、アニメや映画を自宅で楽しむホームエンターテインメントの需要が大きく拡大したことは言うまでもない。しかし、そこには従来の形式のみならず、リアルとオンラインを融合した新しいホームエンターテインメントも含んでいるのだ。
●動画配信サービスは市場拡大で戦国時代に突入
例えば、ホームエンターテインメントの代表格である動画系としては、20世紀スタジオ(旧20世紀フォックス)など映画各社は動画サイトの公式「ユーチューブ」チャンネルにおいて劇場作品を公開しているほか、アマゾン・ドット・コムが展開する定額制動画配信サービス「アマゾンプライム・ビデオ」や、それ以外では、「ネットフリックス」「Hulu(フール―)」「U-NEXT」「dTV」「ディズニープラス」など参入企業が多く、 動画配信サービス業界はまさに戦国時代といったところだ。
このような市場環境の中において、ネットフリックスでは2月25日、2021年に約5億ドル(約530億円)を、韓国でのオリジナルコンテンツ制作に投じると発表した。韓国に関しては、これまでも”Kウェーブ”や”韓流”と呼ばれる現象を起こすなど、エンターテインメント業界で実績を上げており、直近では「パラサイト 半地下の家族」はアカデミー賞作品賞を受賞し話題になった。ネットフリックスはこうした施策を通じて、加入者数の伸びが著しいアジアでの地盤強化を目指す方針のようだ。
●「デジタルライブ」コンサートなど新成長分野に
そして、リアルとオンラインの融合という新しいエンターテインメントとして、耳目を集めているのが、「デジタルライブ」の市場だ。実際、既にアーティストの多くはデジタルライブによるコンサートなどを行っている。コロナ禍をきっかけとした新たな形でのサービス提供が生まれたことにより、失いかねなかった収益機会を獲得できる可能性が高まっているが、更にはリアルとオンラインの融合という形のサービスがコロナ収束後においても、エンターテインメント業界を盛り上げるキーワードになる期待感も膨らむ。また、事業環境が大きく変化することで、業界再編の流れも加速することになりそうだ。
例えば、エイベックス <7860> 傘下のエイベックス・エンタテインメント(AEI)は、アリーナ、ホール等の施設運営、スポーツ、音楽興行ビジネスを展開する米AEGの音楽興行部門であるAEG Presents(米国カリフォルニア州)と、相互補完的パートナーシップを締結し、共同事業「AEGX」をスタートすると発表。AEIとAEG Presentsは、それぞれの強みを生かし、アーティストの育成とライヴ・エンターテインメントの両方において、国際的な機会を創出する。このデジタルライブ市場は、今後一段の成長が見込めるだろう。以下ではデジタルライブ関連銘柄の動向をみてみたい。
●アミューズ、SKIYAKI、エムアップなど注目
アミューズ <4301> は、所属アーティストのチケットやオリジナルコンテンツを配信する「アミューズモバイル」、ライブストリーミング番組を配信するインターネット放送局などを展開する。
NexTone <7094> [東証M]は、著作権管理を事業軸としているが、ストリーミング音楽配信市場の拡大と動画配信サービス市場の伸長に加えて、管理楽曲数・取り扱い原盤数が順調に増加したことなどにより、著作権使用料の徴収などが好調に推移している。更に、新たなエンターテインメントサービスのサポートとして有観客・無観客ライブやドライブインコンサートにおける映像配信、生ライブ配信サービスにおける権利処理コンサルティングなども開始している。
SKIYAKI <3995> [東証M]は、多くのアーティストがオンラインでのグッズ販売を強化した影響からECサービスが好調。オールイン型ファンメディア「Bitfan」の新サービスとして、生配信でファンに向けてトークや弾き語りを届ける機能「ラジオ配信」も新たに提供を開始するなどサービス拡充を図っている。
エムアップホールディングス <3661> は、子会社においてアイドルやアーティスト、スポーツ選手といった著名人とファンが、オンライン上で安心・安全に対話できるアプリ「MeetPassライブトーク(ミートパス)」を開発、サービス運用している。
その他、アイティメディア <2148> は、展示会やセミナーなどのイベントをインターネット上で実施できるバーチャルイベント/ウェブセミナーを手掛ける。博報堂DYホールディングス <2433> は、VR空間で展示会、講演会、セミナー、会議などを含む複合型のイベントを誰でも簡単に開催可能とするVRコンベンションセンター「VRADE」を開設。スペースシャワーネットワーク <4838> [JQ]は、日本のロック・ポップスを中心に、邦楽・洋楽・メジャー・インディーズを問わず、さまざまなジャンルを網羅した「スペースシャワーTV」を提供している。
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