インフレ・金利動向への警戒感くすぶりハイテク株売り・資源株買い/後場の投資戦略

市況
2021年3月8日 12時27分

日経平均 : 28926.03 (+61.71)

TOPIX  : 1904.86 (+8.68)

[後場の投資戦略]

朝方一時400円近い上昇を見せた日経平均は、伸び悩んだハイテク株が重しなる形で上げ幅を縮小し、テクニカル的にも25日移動平均線上には復帰できず同線に頭を抑えられる形となった。前週末の米長期金利の一服とハイテク株高を好感して、朝方は東京エレクトロンなどの半導体関連のハイテク株に買い戻しが見られたが、間もなく失速し下落に転じたものが多かったところを見るとまだまだ警戒感はくすぶっているのだろう。

それもそのはず。来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)および日銀金融政策決定会合という中央銀行イベントが控えている。金利動向に敏感になっているなか、ここで改めて足元のインフレや金利動向に対してどのようなスタンスが示されるのか、これを確認するまでは、本格的にハイテク・グロース株を買っていくのは難しいだろう。

ハイテク株の調整要因になった米金利の上昇は歴史的に最低な結果となった7年債入札がきっかけであったが、今週は米財務省が実施する3年債、10年債、30年債入札もあるため、債券市場での需給を確認するためにも、これらの結果が注目されよう。

また、今週末にはメジャーSQ(特別清算指数)がある。週末にかけて含み益のあるハイテク株を売るといったポジション調整の動きが一段と出る可能性も否定できない。11日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会もあり、ここでラガルド総裁から金利上昇をけん制するような発言がでれば、多少は相場にポジティブであろうが、上述した背景から買い上がる材料にはなりにくいだろう。

そのほか、今週は米連邦準備制度理事会(FRB)が注視している消費者物価指数(CPI)が10日に発表予定だ。食品・エネルギーを除くコアCPIの市場予想は前年比で1.4%増、市場予想程度であれば、過度なインフレ懸念が後退する可能性もあるが、反対に強い数値が出ると、マーケットが神経質に反応する可能性もあり、これも注目されよう。

さて、後場の日経平均は今週後半から来週にかけて控える経済指標やイベントを前にこう着感を強めそうだ。ただ、そのような中でも、先日のOPECプラス会合でこれまでの協調減産を同様に継続することが好感された原油相場は、サウジアラビアが前日に、国内の石油施設がミサイルやドローンの攻撃を受けたと声明を出したこともあり、一段高となっている。

これを受けて、国際石油開発帝石などは前週に続き急伸している。また、構造改革を発表した日本製鉄など個別材料の背景もあるが、景気回復の高まりを受けて鉄鋼セクターも大きく上昇している。前週の当欄でも指摘したが、景気回復期待の恩恵を受けるだけでなく、警戒されている金利上昇の背景にあるインフレ懸念をリスクヘッジできるという観点からも、資源関連株にはメリットがある。これら関連株は今後も堅調な動きが期待できるのではないかと予想している。

《AK》

提供:フィスコ

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