ナノキャリア---遺伝子治療製品VB-111の第3相臨床試験に関する中間成績が論文公開
ナノキャリア<4571>は5日、同社が国内開発権および販売権をVBL社(イスラエル)から導入した遺伝子治療製品VB-111について、プラチナ製剤抵抗性卵巣がんを対象とした国際共同第III相臨床試験(OVAL試験)に関し、中間解析の成績が論文公開されたことを発表。
本論文では、OVAL試験に登録された最初の評価対象60例について解析し、腫瘍マーカーであるCA-125の奏効率は53%であることが報告された。本中間解析においては、VB-111の奏効率が比較群の奏効率より少なくとも10%大きくなければならないという試験の継続を判断するために事前に設定された条件を満たし、独立データモニタリング委員会(DSMC)より試験の継続勧告を受けている。
本解析により得られたCA-125奏効率は、均等に無作為化されていると仮定した場合、VB-111による治療群における奏効率は58%以上となる。さらにはVB-111のマーカーと考えられる治療後に発熱が認められた症例におけるCA-125奏効率は69%であった。
VBL社のCEOは本論文で報告された成績に加え、DSMCレビューに基づきOVAL試験が着実に進捗していることから、VB-111は治療法がなく新たなアプローチを強く求められている卵巣がんの治療に期待が高まるとしている。
ナノキャリア社は、プラチナ製剤抵抗性卵巣がんを対象にした本第3相試験に日本が参加するための治験届を既に提出しており、現在、国内の治験実施施設において患者登録に向けた準備が進んでいるとしている。国内30例を予定しており、2022年初頭に世界各国の患者登録を完了する計画とされている。同社は、国際共同治験として短期間での国内開発および承認申請が可能となり、最先端の治療を国内の患者に届けるとともに、本開発を推進することで早い収益化につなげる狙いがあるとしている。
《ST》