【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ FOMCまでは金利上昇に要警戒も、アク抜け感に繋がるか
「FOMCまでは金利上昇に要警戒も、アク抜け感に繋がるか」
●海外勢による日本株買いの復活に期待
日経平均株価は2月16日の高値3万714円をピークに、米長期金利の急ピッチの上昇に対する警戒感に加え、ナスダック総合指数の調整局面入りを受けてハイテクなどグロース株主導による下落が続いていたものの、足もとでようやくグロース株の売りも落ち着いたようである。1兆9000億ドル規模の米追加経済対策法案の成立、新型コロナワクチン接種の進展による欧米でのロックダウン解除に向けた動きなどもあり、経済活動の正常化期待を背景に押し目買い意欲の強さも目立ってきている。また、先物オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を通過し、その後の強い値動きによってセンチメントも改善している状況だ。
米長期金利の動向については、景気回復の中での金利上昇であり、懸念されているのは上昇ピッチの速さである。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは金利上昇に対する警戒感はくすぶると考えられるが、これまでの荒い値動きによって市場も対応力をつけてきており、アク抜け感に繋がる展開に向かうとみておきたい。また、3月の日銀金融政策決定会合で行われる上場投資信託(ETF)の政策点検の内容について「購入額に幅を持たせる」「対象銘柄の除外や拡大の検討」などを予測する報道もあり、ある程度は織り込まれているとみられ、過度に警戒する流れにはなりにくいであろう。
年度末に向けて全体の商いは膨らみづらくなるものの、需給状況の良好な銘柄などでは買い戻しの流れが強まる可能性もある。日経平均の2月半ば以降の調整局面では、海外勢による売り越し基調が目立ったが、長期金利の落ち着きなどによっては、彼らが株式のポジション比率を再び高めてくる動きも期待しておきたい。
●今週の活躍期待「注目5銘柄」
◆協和エクシオ <1951>
情報通信インフラ構築の専門技術をコアに、通信インフラ、都市インフラ、システムソリューションの3つの領域で事業を展開。事業環境は良好で、IoTを支える通信技術である「5G」の商用サービス開始や地方部における高度無線環境整備推進事業、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進による投資継続など追い風が吹く。株価は直近ボトム圏からのリバウンドにより、25日、75日移動平均線をクリアしてきている。
◆NECネッツエスアイ <1973>
NEC系のネットワークサービス会社。企業向けではテレワークを中心に、DX推進による働き方改革分野で需要拡大が継続。通信事業者向け分野では、「5G」関連設備投資の堅調な推移が予想される。直近ではZoom社と音声クラウドサービス「Zoom Phone」の企業向けサービス提供に関して世界初のリセラー契約を締結している。株価は直近のリバウンドにより75日および25日移動平均線を突破してきている。
◆パーソルホールディングス <2181>
傘下のパーソルキャリアが日本M&Aセンター <2127>と提携。地方の中小企業を中心に後継者不足が強まっており、日本M&Aセンターの取引先企業の悩みや要望に沿って専門人材を選定することで、中小企業の成長を後押しするほか、都心部の企業に勤める幹部社員らが副業などで働く機会を提供する。企業による副業解禁の動きもあり、需要は大きいだろう。株価は上昇トレンドを継続しており、2月高値2315円をピークに調整をみせていたが、75日線を支持線に切り返している。
◆Ubicomホールディングス <3937>
ソフトウェアの設計・開発などを手掛け、高い技術力を持つトップノッチエンジニアを先進技術開発センターに有し、グローバルにソリューションを提供する。メディカル事業では次世代型レセプトチェックシステムの引き合いが活発なほか、医療のデジタル化やデータ保全・セキュリティーに係る新事業の立ち上げに注力。株価は1月高値4070円をピークに下降する25日線に上値を抑えられる形で調整を続けていたものの、直近のリバウンドで25日線を突破してきており、調整一巡からの出直りに期待。
◆綜合警備保障 <2331>
法人・個人向けのセキュリティーサービスなどを展開。コロナ禍において非接触型の生体認証システムの利用が望まれるなか、非接触ICカード自体に指紋認証機能を搭載する「ALSOK指紋認証カード」を展開。また、3月25日から聖火リレーが始まり、東京オリンピック開催に向けてセキュリティー需要の拡大期待も再燃してこよう。株価は4800~5700円辺りでのボックスレンジで推移しており、ボトム圏からのリバウンドを想定。
2021年3月12日 記
株探ニュース