為替週間見通し:もみ合いか、日米金融政策を見極める展開
【今週の概況】
■米景気回復への期待でドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。週初に108円27銭まで下げたものの、米国経済の好転を期待して米長期金利は再び上昇し、3月9日の東京市場で昨年6月以来となる109円23銭までドル高・円安が進行した。10日発表の2月米消費者物価コア指数は市場予想を下回ったことから、ドル買い・円売りは一時縮小したものの、11日発表の今週分新規失業保険申請件数は予想以上に減少したことや、1.9兆ドル規模の米追加経済対策法案が正式に成立したことから、米国の景気回復への期待が高まり、リスク選好的なドル買い・円売りが再び優勢となった。
12日のニューヨーク外為市場でドル・円は、109円15銭まで上昇した。この日発表された3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は、市場予想を上回る83.0に改善したことや、バイデン米大統領がワクチン接種を5月1日までに全成人を対象にする計画を発表したことから、米長期金利は上昇し、リスク選好的なドル買いが優勢となった。ドル・円は109円04銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:108円27銭-109円23銭。
【来週の見通し】
■もみ合いか、日米金融政策を見極める展開
来週のドル・円はもみ合いか。3月16-17日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、長期金利の過度な上昇を抑えるための具体的な措置について議論される可能性がある。少なくとも、緩和的な政策方針を改めて示すとみられ、ドル買い・円売りはやや縮小する可能性がある。日本銀行は18-19日開催の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定すると予想され、10年金利の変動幅を拡大する可能性は低いとみられる。日本の長期金利は伸び悩む可能性が高いが、米長期金利が上げ渋った場合、リスク選好的なドル買い・円売りは一服しよう。
ただ、パウエルFRB議長をはじめ、米金融当局は長期金利の上昇について、「米国経済の回復を反映している」との見方を伝えている。新型コロナウイルスの感染抑制によって景気見通しは改善しつつあること、1.9兆ドル規模の追加経済対策法案の成立を意識して、リスク回避的なドル売り・円買いが広がる可能性は低いとみられる。
【米・2月小売売上高】(16日発表予定)
3月16日発表の2月小売売上高は減少する見込み。1月は前月比+5.3%と大幅に改善し、個人消費の回復を示している。2月は反動減が予想されているが、市場予想を上回った場合、一段の景気回復を見込んだドル買いが入りやすい。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(16-17日開催予定)
3月16-17日に開催されるFOMC会合では、現行の金融政策の据え置きが決まる見込み。経済指標は改善が目立つものの、長期金利の上昇が警戒されており、すみやかな景気回復については慎重な見方を示すとみられる。金融緩和策の長期化が改めて示された場合、リスク選好的なドル買いはやや縮小する可能性がある。
予想レンジ:107円50銭-110円00銭
《FA》