馬渕治好氏【日経平均再びの3万円大台、4月相場はこう動く】(1) <相場観特集>
―景気回復期待と米長期金利、そして為替相場はどうなる―
週明け5日の東京株式市場は日経平均が前週後半の地合いを引き継ぎ3日続伸、3万円大台を回復した。4月新年度入りから強調展開が続いているが、この流れはどこまで続くのか。また、日米金利差拡大を背景に外国為替市場では1ドル=110円台後半の推移と円安傾向にあり、こちらの動向も気にかかるところだ。きょうは、株式市場の見通しについてブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏に、為替市場の見通しについて外為オンライン シニアアナリストの佐藤正和氏にそれぞれ意見を聞いた。
●「目先は天井近くGWにかけ下値模索へ」
馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)
東京株式市場では米国株主導で足もと強調相場が続いているが、結論を先にすると、ここからの全体相場の上値は重く、ゴールデンウィーク前後にかけて日経平均は下値を試す展開に移行する可能性が高いとみている。
米国株市場では主要株指数が揃って上昇基調を維持し、NYダウやS&P500指数は最高値圏にあるなど、ここ最近の動きは想定以上に強い相場といってよい。ワクチン接種が思った以上に速く進んでいることで、景気回復への期待感が強気相場を盛り上げている。バイデン政権では4月19日までに成人のうちの9割が新型コロナウイルスワクチンの接種を受けられる状況になると発表しており、アフターコロナへの思惑がマーケットに底流している。加えて2兆ドルを超えるインフラ計画を打ち出し、半導体供給網の強化や先端コンピューティングの研究開発などに積極的に資金を投下する計画で、これも強気相場を後押しする。直近発表された3月の米雇用統計も大方の予想を大幅に上回る内容だった。
しかし、それでもやや行き過ぎに買われていることが否めないほか、日本国内に目を向ければ米国ほど市場を取り巻く環境は順風ではないことも気にかかる。大規模な経済対策が菅政権から打ち出されるわけではなく、ワクチン接種のスピードについても世界のなかで際立って遅滞している。これから2月決算企業の決算発表を控え、非製造業は製造業よりも厳しい環境に置かれている企業が多いだけに注意が必要となる。
日経平均は、このまま2月16日につけた3万467円(終値ベース)の高値を抜けることは難しいのではないかと考えている。その水準にたどり着く前に目先の天井をつけゴールデンウィーク前後までには売り圧力が顕在化し、下値を探る展開となりそうだ。場合によっては今の水準から10%くらいの深押しもあり得る。ただし、長期的視点に立てば、ここからの押し目形成場面は買いのチャンスだ。今年の年末にかけて再び上昇基調の相場が復活し、日経平均は改めて3万1000円台を目指す展開を予想している。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「コロナ後を生き抜く 通説に惑わされない投資と思考法」(金融財政事情研究会)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。
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