佐藤正和氏【日経平均再びの3万円大台、4月相場はこう動く】(2) <相場観特集>
―景気回復期待と米長期金利、そして為替相場はどうなる―
週明け5日の東京株式市場は日経平均が前週後半の地合いを引き継ぎ3日続伸、3万円大台を回復した。4月新年度入りから強調展開が続いているが、この流れはどこまで続くのか。また、日米金利差拡大を背景に外国為替市場では1ドル=110円台後半の推移と円安傾向にあり、こちらの動向も気にかかるところだ。きょうは、株式市場の見通しについてブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏に、為替市場の見通しについて外為オンライン シニアアナリストの佐藤正和氏にそれぞれ意見を聞いた。
●「米国の一人勝ち状態で111円ライン突破へ」
佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)
ドルは、5月に向け上昇する展開を想定している。先週には1ドル=110円97銭まで上昇したが、111円乗せには至らなかった。また、2日に発表された米3月雇用統計は非農業部門雇用者数が91万6000人増と予想を上回ったが、市場は織り込み済みとの反応だった。しかし、110円半ばでは下げ止まっている。
ドル円は月足ベースで111円ラインがちょうど一目均衡表の雲の下限に当たっており、足もと111円で押し戻される動きとなっている。しかし、この抵抗線は早晩突破するだろう。
今後1ヵ月程度のドル円相場の予想レンジは1ドル=108円~111円50銭を見込んでいる。
ドルは、米国景気の強さを反映して上昇している。先週発表された3月ADP雇用統計も同ISM製造業景況感指数も、そして雇用統計も市場予想を上回った。バイデン政権の経済対策もあり個人消費は良好で、株価は上昇している。新型コロナワクチンの接種が進んでいることも好要因で、米国経済は一人勝ちとも言える状況にある。米長期金利の上昇が関心を集めるが、これは景気拡大を背景にした「良い金利上昇」だ。今後も景気拡大で米長期金利が上昇するなか、ドルは上値を試しそうだ。ただし、112円近辺では売りが出てくるともみている。
ユーロは対ドルでは1ユーロ=1.150~1.210ドルを見込む。トレンドはドル高だろう。欧州は新型コロナウイルス感染拡大の影響が気になるほか、ドイツの政局の行方も警戒要因となる。対円では1ユーロ=127~132円を見込む。トレンドはユーロ高だと思う。日本は欧州に比べても新型コロナワクチンの接種が遅れている点も売り要因となるとみている。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。
株探ニュース