米国株式市場見通し:景気回復期待や企業の好決算が相場押し上げ
今週に続き経済活動の再開を背景とした景気回復期待や企業の好決算が相場を押し上げそうだ。ジョンソン・エンド・ジョンソン製造の新型ワクチン接種が中断しているが、当局は来週終盤の会合で、同ワクチンを巡る対応を決定するようだ。政府は全国民分のワクチンが確保されていることを確認済みで、夏に向けて経済活動の再開に拍車がかかることはほぼ確実だ。消費や雇用関連指標では、国民への直接資金供給や中小企業支援などを含んだ政府の経済対策による効果が表れ始めている。1-3月期国内総生産(GDP)の5%近くの成長を示唆しており、相場の上昇に一段と勢いがつきそうだ。
長期金利の上昇も一段落しているため、ハイテク株も相場の上昇を支援しそうだ。バンク・オブ・アメリカが実施した4月調査結果によると、世界の投資家は債券市場のテーパータントラムが最大のテールリスクだと考えていることがわかった。次いで、インフレと増税、新型コロナウイルスワクチン接種状況がリスク要因に挙がっている。長期金利動向には引き続き注意する必要がありそうだ。
労働統計局が発表した3月消費者物価指数では予想を上回る伸びが示されたが、ガソリン価格の上昇や、パンデミックによって需要が増えたことを背景に自動車やトラックのレンタル価格が上昇したことが主な要因となっている。FRBが指摘しているとおりにインフレが一時的にとどまり、当局の大規模金融緩和の維持が正当化される可能性が今のところ強く、相場のプラス材料になりそうだ。
さらに、携帯端末のアップルはオンラインで「spring loaded」と題した新製品発表イベント開催を20日に予定しており、注目だ。アナリストは、今年初めてとなるこのイベントで、6月のイベントを待たずに、新型アイパッドプロやアイパッドミニなどを発表すると見ており株価の上昇を後押しするだろう。
経済指標では、3月シカゴ連銀全米活動指数、週次新規失業保険申請件数、3月先行指数、中古住宅販売件数(22日)、4月マークイット製造業・サービス業PMI、3月新築住宅販売件数(23日)、などが予定されている。
企業決算では、航空会社のユナイテッド(19日)、アメリカン、サウスウェスト(22日)通信では、ベライゾン(21日)、AT&T(22日)、飲料メーカーのコカ・コーラ、ITサービスのIBM(19日)、製薬会社のジョンソン・エンド・ジョンソン、消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル、動画配信のネットフリックス、地銀のフィフスサード、オートバイメーカーのハーレー・ダビッドソン、自動車販売のオートネーション(20日)メキシカンファーストフードチェーン運営のチポトレ、家電メーカーのワールプール(21日)、半導体メーカーのインテル、ソーシャルメディアサービスを供給するスナップ、クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレス(22日)、などが予定されている。
ネットフリックス決算では、値上げによる契約者数の減少に注意したい。一方で、海外の契約者数の増加が業績を支えられるかどうかに注目だ。航空会社の決算では、7-9月期に黒字回復を予想しているデルタに続き業績回復に楽観的な見通しが示されそうだ。家電メーカーの売り上げも、在宅が続いている状況から強い決算が続きそうだ。一方で、消費財メーカーはパンデミック時のような需要の急増が一服し、売り上げや見通しが抑制される可能性がありそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》