話題株ピックアップ【夕刊】(2):リコー、日本製鉄、任天堂
■セイコーHD <8050> 2,107円 +127 円 (+6.4%) 本日終値
セイコーホールディングス<8050>が4連騰し年初来高値を更新。前週末7日の取引終了後、集計中の21年3月期連結業績について、営業利益が2億円から21億9400万円(前の期比64.2%減)へ、純利益が10億円から34億7500万円(同2.4%増)へ上振れ、最終損益が一転増益で着地したようだと発表しており、これが好感された。売上高は2050億円の従来予想に対して2026億7100万円(同15.3%減)とやや下振れるものの、第4四半期(1~3月)に「グランドセイコー」や「セイコープロスペックス」などの高付加価値製品の販売が好調に推移したことが利益を押し上げた。また、外部環境の変化に合わせた広告宣伝販促費やその他営業費用の削減の取り組みが進んだこと、為替レートが円安傾向に推移したことなども寄与した。なお、期末配当予想は12円50銭から25円に引き上げられ、年間配当は37円50銭(前の期75円)となる。
■澁谷工業 <6340> 3,590円 +215 円 (+6.4%) 本日終値
澁谷工業<6340>が4連騰。前週末7日の取引終了後、21年6月期の連結業績予想について、売上高を1030億円から1040億円(前期比0.4%増)へ、営業利益を82億5000万円から103億5000万円(同10.5%増)へ、純利益を58億円から74億5000万円(同15.1%増)へ上方修正し、減益予想から一転して営業増益予想としたことが好感された。中国向けの半導体製造装置が引き継き好調に推移する見通しであることが要因。また、積極的なコスト削減に努めていることや、特にメカトロシステム事業と農業用設備事業の採算が大幅に向上していることなども寄与する。なお、第3四半期累計(20年7月~21年3月)決算は、売上高722億4600万円(前年同期比9.7%減)、営業利益78億7600万円(同7.3%増)、純利益57億2600万円(同15.1%増)だった。
■リコー <7752> 1,232円 +67 円 (+5.8%) 本日終値
リコー<7752>が急動意。一時約7%高の1248円まで上値を伸ばし、満を持して1100円台のもみ合いを上放れる動きをみせている。同社が7日取引終了後に発表した21年3月期の業績は営業損益段階で454億2900万円の赤字となったが、続く22年3月期は急回復に転じ500億円の黒字化を見込んでいる。複合機などのオフィス関連機器の収益改善に加え、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)投資需要をにらみ注力中のITサービスも業績に貢献する見通し。これを手掛かり材料に買いが集まった。同社株は株式需給面でも信用売り残が買い残を上回っている状況で、上値の軽さが意識されている。
■日本製鉄 <5401> 2,281円 +114 円 (+5.3%) 本日終値
日本製鉄<5401>は大きく買い優勢に傾き、一時7.8%高の2335円まで買われる人気となった。ここ鉄鋼セクターは世界的な景気回復期待を背景に物色人気が際立っている。同社は前週末取引時間中に22年3月期の最終損益が2400億円の黒字(前期実績は324億3200万円の赤字)となる見通しを発表し、これが素直に好感され大きく水準を切り上げたが、その流れが継続している。好決算発表で利益確定売りに晒されるケースが多い主力ハイテク株とは対照的な動きだ。また、前週末取引終了後に22年3月期の最終損益が1300億円の黒字となる見通しを発表したジェイ エフ イー ホールディングス<5411>もきょうは7%以上の上昇をみせた。大手をはじめ鉄鋼株人気が鮮明となるなか、きょうは業種別騰落率でも値上がり率が4%を超え、東証1部33業種中で断トツとなった。
■東洋紡 <3101> 1,453円 +72 円 (+5.2%) 本日終値
東洋紡<3101>が後場一段高。同社はきょう午後1時頃に、21年3月期通期の連結決算を発表。売上高は前の期比0.6%減の3374億600万円(従来予想は3350億円)、経常利益は同14.8%増の207億600万円(従来予想は160億円)となった。工業用フィルムの売り上げが堅調に推移したほか、PCR関連の検査用原料や研究用試薬の販売が伸びたことなどが寄与した。あわせて公表した22年3月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比6.7%増の3600億円、経常利益が同6.2%増の220億円を見込む。PCR検査用試薬や遺伝子検査装置の提供に注力するほか、情報機器需要に対応するためセラミックコンデンサ用離型フィルム「コスモピール」や液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」の増産を計画している
■レオン自動機 <6272> 1,232円 +58 円 (+4.9%) 本日終値
レオン自動機<6272>は大幅反発。前週末7日の取引終了後、集計中の21年3月期連結業績について、売上高が220億9000万円から222億8000万円(前の期比17.2%減)へ、営業利益が10億6000万円から14億400万円(同51.4%減)へ、純利益が14億円から16億800万円(同18.4%減)へ上振れて着地したようだと発表しており、これが好感された。食品加工機械製造販売事業で、食品成形機、製パンラインなどの需要が予想以上に回復したほか、修理その他の売り上げが増加したことが要因としている。また、コスト削減及び経費節減の取り組みが進んだことと、為替レートが円安傾向に推移したことも寄与した。なお、期末配当は8円から10円へ引き上げ、年間配当は17円(前の期22円)となる。
■昭和電工 <4004> 3,670円 +165 円 (+4.7%) 本日終値
昭和電工<4004>が大幅高で4日続伸し、連日の年初来高値更新。午前10時30分ごろ、21年12月期の連結業績予想について、売上高を1兆2800億円から1兆3450億円(前期比38.1%増)へ、営業利益を450億円から680億円(前期194億4900万円の赤字)へ、最終損益を140億円の赤字から110億円の黒字(同763億400万円の赤字)へ上方修正したことが好感された。昭和電工マテリアルズセグメントで半導体関連事業の需給のタイト化が想定を上回っているほか、無機セグメントで黒鉛電極事業の需給改善に伴う販売数量増も前回予想を上回って推移していることが要因。また、石油化学セグメントもアジア需給の改善などを背景に増益を見込んでいることから上方修正したとしている。
■日本セラミック <6929> 2,768円 +119 円 (+4.5%) 本日終値
日本セラミック<6929>が4連騰。前週末7日の取引終了後に発表した第1四半期(1~3月)連結決算が、売上高49億7800万円(前年同期比27.2%増)、営業利益9億1200万円(同62.1%増)、純利益7億7800万円(同29.1%増)と大幅営業増益となったことが好感された。国内外の顧客の企業活動が復旧したことを受けて、自動車向けセンサやセキュリティー・自動照明向け赤外線センサの出荷が国内・海外ともに増加したことに加えて、海外工場が通常通りに稼働したことが寄与した。なお、21年12月期通期業績予想は、売上高186億円(前期比8.7%増)、営業利益33億円(同15.9%増)、純利益26億円(同21.8%増)だった。あわせて上限を70万株(発行済み株数の2.72%)、または20億円とする自社株買いを実施すると発表しており、これも好材料視された。取得期間は5月10日から12月31日までで、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行と資本効率の向上を図るとともに、株主への利益還元を充実させることを目的としている。同時に25年12月期に売上高250億円、営業利益50億円を目指す中期経営計画を発表した。電気自動車分野と自動運転分野の市場開拓を図るほか、既存・新規製品の開拓と選択と集中による収益改善に取り組むとしている。
■大崎電気工業 <6644> 613円 +22 円 (+3.7%) 本日終値
大崎電気工業<6644>が3日続伸。この日の寄り前に、集計中の21年3月期連結業績について、売上高が750億円から762億5000万円(前の期比15.3%減)へ、営業利益が20億円から26億8000万円(同27.4%減)へ、純利益が1億円から4億8000万円(同59.9%減)へ上振れて着地したようだと発表しており、これが好感された。国内計測制御事業で、スマートメーター及びエネルギーマネジメントサービスの売り上げが従来予想を上回ったことが寄与した。
■任天堂 <7974> 62,220円 +1,810 円 (+3.0%) 本日終値
任天堂<7974>は3日ぶり急反発、商いを伴い一時1700円を超える上昇をみせた。前週末7日は6日引け後に発表した22年3月期決算で、営業利益を22%減益の5000億円予想としたことで大幅続落を余儀なくされた。ただ、22年3月期の減益見通しについてはある程度織り込まれており、市場では保守的な会社側の予想は期中増額修正の可能性が高いと予想する向きも多い。株価についても、「国内外の証券会社から直近発表された同社株の投資判断は概ね強気でまとまっており、目標株価も6万2000円近辺の時価より上に設定されているのがほとんど。中にはマッコーリーキャピタル証券など10万円台に設定している証券会社もあるだけに、これを拠りどころに押し目買いの動きを誘発している」(国内証券ストラテジスト)という指摘もある。
株探ニュース