大塚竜太氏【3万円大台復帰はいつ? GW明けの相場展望は】(2) <相場観特集>
―NYダウ最高値街道も今一つ勢いを欠く東京株式市場―
週明け10日の東京株式市場は日経平均株価が前週後半の強調地合いを引き継ぎ3連騰となった。米国の金融緩和期待を背景にNYダウが最高値街道を走っており、これに追随する動きとなっている。ただ、セル・イン・メイの相場格言もあるように、足もとキャッシュポジションを高める動きも観測され上値も重い。夏相場の前哨戦となるここから6月にかけての相場展望について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「3万円大台を通過点とする強調展開へ」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
全体相場は足もと上昇しているものの戻り売り圧力も意識されている。ただ、結論から先に言えば、ここでのもみ合いは積極的に買い向かって報われると考えている。向こう1ヵ月の日経平均のレンジとしては、下値は2万8000円台半ばと、それほど深い押し目はないとみている。上値については3万円大台がなかなか遠いとみられているようだが、あくまでこの大台ラインは通過点に過ぎず、夏場には3万1000円台をうかがう展開を想定している。したがって、波乱局面があった場合に買い向かう余力はある程度残しつつも、2万9000円台は買い溜めておくスタンスでよい。
米国では4月の雇用統計が事前予測を大幅に下回ったことで、金融緩和環境が長期化するとの期待が景気敏感株を中心に幅広く買いを誘う格好となった。日本はワクチン普及率が周回遅れで、これを嫌気されて買いが入りにくいとの見方があったが、直近は外国人の買いが復活しているとみられるフシがある。これは菅政権が、希望する高齢者への接種を7月末までに終えるというような明確な目標を出していることで、ワクチン普及の道筋が見えてきたことによるのではないか。とすれば、早晩日経平均は上放れる可能性が高い。
今週本格化する企業決算についても、22年3月期の業績についてはコロナ下で強い予想を出せない雰囲気があるため、必ずしも額面通りに受け取る必要はない。足もとは冴えない銘柄でも期中増額修正の動きを織り込みに行く展開が期待できる。スケジュール的には来週18日に発表される1~3月期実質GDP速報が注目される。前期比で大幅な落ち込みが予想されており、これを受けて菅政権も、選挙をにらみつつそれなりの景気対策を打ち出すよりない状況になることが予想される。当然ながら相場にはプラス材料だ。もっとも、物色対象としては内需よりも外需優位の局面が続きそうだ。鉄鋼や海運などの景気敏感株のほか、押し目買いを念頭に置いて半導体関連などハイテク株もマークしたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース