明日の株式相場に向けて=「リアル消費関連株」をロックオン
きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が93円安の2万8549円と6日ぶりに反落。きょうは株式需給面でのビッグイベントであるMSCIの指数見直しに伴う売買を大引けに控え、日本株市場では5000億円規模の売り越しニーズが指摘されていただけに、ここを通過するまでは持ち高を積み上げにくい環境にあった。もっとも事前に売り対処していた裁定業者が最終盤に買い向かうため、見た目ほどのネガティブインパクトはない。例えば最大2000億円前後の売り需要が発生するとされたソフトバンクグループ<9984>は安値引けであったが、下落率は2.2%にとどまっている。
日経平均は前日まで5日続伸していたこともあって、逆の言い方をすれば、きょうは押し目形成にはちょうど良いタイミングであった。ただし、前日も前々日も日経平均はプラスでも値下がり銘柄が大幅に値上がりを上回る状況にあったので、“連騰疲れ”というには憚(はばか)られる。きょうは75%の銘柄が下落した。東証1部の騰落レシオはきょうの大引け時点で81%台。ちなみに、マザーズ市場も前日取引終了段階で81%台であったから、投資マインドはむしろ、かなり冷えた状態といってよい。
しかし、一部個別株への貪欲な物色ニーズは健在だ。一言でいえば、アフターコロナの世界を想起したミニバブルモードの相場である。いわゆる「リアル消費関連」の株価があちらこちらで間欠泉のように噴き上げている。海外事情に詳しい市場関係者の話では「米国では新型コロナワクチンの普及が進み、旅行、クルーズ、レストラン関連の予約が満杯状態で全く取れない状態だ。株式マーケットでもワクチン普及初期に先駆して買われた銘柄群の現在の収益環境には、イメージ通りの強烈な追い風が吹いている」(国内中堅証券アナリスト)という。
日本国内のワクチン接種率は欧米と比べて圧倒的に遅れているわけだが、今週24日には大規模接種がスタートしており、今後、高齢者を先頭集団にワクチンの普及は加速局面に入っていく。少なくとも普及の道筋は見えた。これを受け、周回遅れながら米国株市場の背中を追う相場が東京市場で繰り広げられる可能性が出てきた。既にその兆候は出ている。
まず、新型コロナで最もダメージを受けたといってもよい日本航空<9201>、ANAホールディングス<9202>の大手空運2社の株価が再び上値指向に変わってきたが、これに連動するようにエイチ・アイ・エス<9603>の株価も強含みで推移。更に、HANATOUR JAPAN<6561>や、直近当欄で取り上げたエアトリ<6191>なども前日に激しく動意づいた。継続企業注記銘柄だがベルトラ<7048>や、藤田観光<9722>なども上昇が顕著だ。外食では同じく継続企業注記ながらグローバルダイニング<7625>の上げ足が鮮烈で、店舗設備メンテナンスを手掛けるシンメンテホールディングス<6086>なども足もと動兆をみせている。
この流れで注目したいのは、例えば“リア充”銘柄の代表格ともいえるウエディング関連。ツカダ・グローバルホールディング<2418>はここからマークしておきたい銘柄となる。婚活情報サービスを展開するIBJ<6071>や街コン情報サイトのリンクバル<6046>なども合わせて目を配っておくところ。また、現在は完全ノーマーク状態だが、ホテル関連の不動産開発コスモスイニシア<8844>も商いが膨らんでくれば注目となる。
このほか、リアル消費関連と離れたテーマの中では、グーグル(アルファベット<GOOG>)のCEOが言及したことでにわかにテーマ性を帯びそうな量子クラウド関連。エヌエフホールディングス<6864>の底値買いに妙味がありそうだ。同社は伊藤忠商事<8001>と共同出資会社で家庭用蓄電池を開発しており、再生可能エネルギー関連の一角としても活躍余地を内包している。
番外で仕手系株の範疇となるが、中国深センプロジェクトに思惑のある宮越ホールディングス<6620>や、ここ急騰しているものの全員参加型材料株の様相を呈しているジー・スリーホールディングス<3647>などに着目しておきたい。
あすのスケジュールでは、4月の完全失業率・有効求人倍率、5月の都区部CPIなど。また、G7財務相・中央銀行総裁会議がオンラインで行われる。米国では5月の消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の個人所得・個人支出などが発表される。(銀)
最終更新日:2021年05月27日 17時03分