来週の株式相場に向けて=3万円奪回へ上昇モメンタム続くか
5月相場も来週月曜の31日を残すのみ。今月は「セル・イン・メイ(5月に売れ)」のアノマリー(経験則)に沿った格好で、11日以降は急落する一方、月末にかけ値を戻す荒い値動きとなった。ただ月間ベースでは28日時点で300円高の水準にあり月足は陽線となることも期待できる状況だ。
来週からは6月相場に入るが、波乱の中心となった米国市場は落ち着きを取り戻しつつある。「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は警戒ラインの20を割り込み、NYダウは最高値に接近している。市場で警戒されたインフレ懸念は相場に徐々に織り込まれつつあるようだ。テーパリング(量的緩和縮小)は「来年の前半には実施されそうだ」(アナリスト)との観測は強まっているが、相場は米連邦準備理事会(FRB)の姿勢転換も視野に入れながら上昇し始めている。景気回復を背景にした、良い金利上昇を意識しながらの展開が優勢となりつつある。
来週は1日の米5月ISM製造業景況感指数や4日の米5月雇用統計が発表される。足もとの米国景気を確かめるうえでの重要指標であり、その結果は今後の相場を左右することになりそうだ。
また、国内要因では新型コロナウイルスワクチンの接種拡大はプラス要因。足もとの株価水準は連結PER14倍近辺と割安。日経平均株価ベースの1株当たり利益は2000円を超えてきており、PER15倍として3万円回復は視野に入りつつある。目先、一服はあり得るが上昇のモメンタム(勢い)は戻りつつある。日本製鉄<5401>や日本航空<9201>といった主力の景気敏感株は反発基調を強め始めている。また、トヨタ自動車<7203>が牽引する格好でホンダ<7267>やマツダ<7261>など自動車株も上放れつつある。
来週は、31日は中国製造業PMIが発表され、米国はメモリアルデーで休場となる。3日に米5月ADP雇用統計と同ISM非製造業景気指数が発表される。国内では31日に4月鉱工業生産、1日には1~3月期法人企業統計が発表される。トリケミカル研究所<4369>が31日、伊藤園<2593>が1日、アインホールディングス<9627>が4日に決算発表を行う。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8700~2万9600円。(岡里英幸)