来週の株式相場に向けて=外国人買いは復活したのか

市況
2021年6月4日 17時54分

今週の東京株式市場はハイテク株が軟調となる一方、空運・電鉄、自動車など景気敏感株の優勢が鮮明となった。4日の株式市場は、日経平均株価は116円安だったが、その一方でTOPIXは0.49ポイント高と上昇した。これは週間ベースでも同様で今週は日経平均株価が207円安に対して、TOPIXは11.75ポイント高と3週連続上昇している。

トヨタ自動車<7203>が連日の上場来高値に沸いているが、同時にJR西日本<9021>や西武ホールディングス<9024>が年初来高値を更新し、日本航空<9201>も高値に接近するなど、電鉄や空運株などを中心とする景気敏感株が値を飛ばしている。市場には「主力の景気敏感株を中心に外国人買いが入っている」との観測が強まっている。

このバリュー株が堅調でハイテク株が伸び悩む光景は、NYダウが最高値に迫る一方、ナスダック総合指数の調整が続いているのと同様で既視感がある。これは、新型コロナワクチンの接種拡大に伴う「ワクチン相場」を意識した展開であり、「外国人投資家は3カ月ほど前の欧米市場の姿と、現在の東京市場の状況を重ね合わせて買いを入れているのではないか」(アナリスト)との見方がある。

東証が発表する主体別売買動向をみても、5月第4週に海外投資家は現物で3789億円と3週ぶりに買い越した。「外国人投資家の日本株保有比率は低く、まだ買い余地は大きい」(同)ともみられる。トヨタの上場来高値に象徴される外国人買いだが、景気敏感株を中心とした攻勢は続くことが期待されている。

今週から来週にかけては、米国で重要経済指標の発表が相次ぐ。特に、今晩の米5月雇用統計と来週10日の米5月消費者物価指数(CPI)に対する市場の関心は高い。先月の「CPIショック」から1カ月を迎え、米国の金融政策の方向性も徐々に鮮明となりそうだ。米金利の急上昇があれば、再び全体相場は調整を余儀なくされることもあり得るが、景気敏感株の構成比率が高いTOPIX優位の展開は当面、続くとみられている。

来週は7日にビジョナル<4194>、9日にくら寿司<2695>、10日に積水ハウス<1928>、11日に神戸物産<3038>、エイチ・アイ・エス<9603>の決算発表がある。10日にワンダープラネット<4199>が東証マザーズ、テンダ<4198>がジャスダックに新規上場する。また、11日は先物のメジャーSQを迎える。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8700~2万9300円。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS

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