DDHD Research Memo(5):経営合理化策の推進や財務体質の強化に取り組む一方、新サービスも開始

特集
2021年6月11日 15時25分

■主な活動実績

1. 経営合理化策の進捗

DDホールディングス<3073>では、コロナ禍に伴う環境変化への対応や業績悪化の早期解消を図り、持続的な成長を果たしていくため、2020年7月15日付けで、経営合理化策を含む今後の経営方針を決議した。具体的には、あらゆる経済環境下においても企業活動を継続していくための財務体質の強化と、中長期的な成長に向けた収益力の向上を重視した経営方針に転換することが急務であると判断し、以下の経営合理化策に取り組んでいる。

(1) グループ会社の見直し

グループ経営のさらなるシナジー創出※を加速するため、連結子会社であるダイヤモンドダイニングを合併存続会社として、ゴールデンマジック、サンプール、商業藝術、The Sailingを合併消滅会社とする吸収合併を実施した(2020年9月1日)。

※業態開発力の向上、意思決定の迅速化、効果的な広告宣伝政策や拠点戦略の最適化、仕入れ・物流体制の一層の合理化、管理部門業務の集約などを進める方針。

(2) 固定費削減や各種契約の見直しを含めた一般管理費等の削減

本社の縮小や業務上必要な機器・サービスなどに関し徹底的な見直しを行い、大幅な一般管理費削減を図っていく方針である。すでに本社事務所の縮小及びグループ会社の一部営業所の縮小を実施したほか、販管費の固定費部分に関わる各種契約の見直しを継続している。

(3) 不採算店舗の退店

2021年2月期~2022年2月期において、グループ全店舗の1割強に相当する店舗の退店方針を決議した。また、「新しい生活様式」の定着に鑑み、環境変化に対応できない業績悪化店舗については追加退店も検討。家賃減額交渉等により一部継続店舗が発生したものの、計画どおり54店舗の撤退を実施した。

(4) 人員の適正配置

事業子会社や収益部門への再配置等によるグループの人的資源の効率化を図るとともに、本社部門及び営業間接部門においてリモートワーク等の新しい働き方を推進し、生産性向上及び人件費削減と抑制を図る方針である。すでにリモートワーク等に対応する組織体制の検討を開始し、第3四半期からは新組織による人員体制を開始した。

2. 第三者割当による新株予約権の発行

同社は2020年10月26日、第三者割当(割当先はモルガン・スタンレーMUFG証券)による新株予約権の発行(第6回、第7回)を決議し、10月30日に条件決定決議を行った。資金調達予定額は合計28.4億円(第6回、第7回ともに条件決定時の行使価額ですべて行使された場合)※にのぼる。行使期間は2年間(2020年11月24日~2022年11月24日)にわたるため、実際の資金調達は権利行使の状況に応じて順次進んでいく仕組みとなっている。足元のコロナ禍による業績悪化を早期に解消し、事業基盤及び財務基盤の安定化を実現するとともに、2020年2月期より推進している中期経営計画(詳細は後述)に従い、着実な事業成長を追求していくことが本件の目的である。具体的な資金使途の内訳については、1)事業基盤安定化に向けた運転資金(約15億円)、2)新規事業開発のための投資資金(3億円)、3)財務健全性の強化に向けた借入金の返済資金(約12億円)となっている。

※行使価額の修正条項がついていることから資金調達額はあくまでも予定であるが、潜在株式数(合計3,800千株)は変動しない仕組みとなっており、既存株主にとっての希薄化リスクは限定されている。

3. 新サービス(他社との協業)の開始

グループ会社である(株)DDプラス※は、飲食店向け予約・顧客台帳サービス「トレタR」を開発・販売する(株)トレタとの協業により、同社グループの購買力を活用したプラットフォームビジネスとして「仕入支援サービス」を2021年3月16日よりスタートした。一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の中小規模の個人経営の飲食店向けに、産地直接契約の青果を中心としたグロッサリー、酒・飲料など6カテゴリー600品目を365日発送する仕組みとなっている。厳しい事業環境に直面する飲食店にとっては、同社グループのバイイングパワー(購買力)を活用し、原価低減メリットを享受できるほか、トレタ社にとっても、顧客である飲食店の囲い込みと手数料収入を獲得することができる。また、仕入先にとっては参画飲食店が新たな卸先となり、販路拡大につなげることができ、同社グループにとっても参画飲食店を束ねることでさらに調達量を拡大し、仕入先からのリベートを確保することができるため、参画飲食店、トレタ社、仕入先、同社グループの4者にとって、それぞれにメリットのあるプラットフォームビジネスと言える。特に、同社にとっては、既存ビジネスの強みを生かし、安定的な収益を生み出す新しい事業モデルとして注目される。

※非連結子会社である吉田卯三郎商店の商号をDDプラスに変更。今後、業績の重要性に基づき連結化される予定。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《ST》

提供:フィスコ

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