リソー教育 Research Memo(1):新規出校を再開、高品質な教育サービスを強みに業績はV字回復へ

特集
2021年6月11日 15時31分

■要約

リソー教育<4714>は“完全個別指導”と“進学指導”とを組み合わせた独自のビジネスモデルを構築し、事業領域を拡大している教育サービス企業である。幼稚園・小学校受験指導の(株)伸芽会や家庭教師派遣事業の(株)名門会、学校内個別指導の(株)スクールTOMAS、ツアー体験企画や体操教室などを行う(株)プラスワン教育などを子会社に持つ。

1. 2021年2月期の業績概要

2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比5.6%減の25,201百万円、営業利益で同62.8%減の1,010百万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による政府の緊急事態宣言発出に伴い「TOMAS」「名門会(教室指導のみ)」「伸芽会」などで一時休校したほか、「スクールTOMAS」も学校の休校に伴いサービスを一時休止したこと、プラスワン教育によるツアー体験企画の一時中止などが減収要因となった。このうち「TOMAS」や「伸芽会」については徹底した感染防止策を実施したことで第3四半期以降は生徒数が回復し、通期では増収を確保している。利益面では、感染防止策としての教室の改修工事費用や講師への特別手当支給などで合わせて5~6億円の減益要因となったほか、オンライン英会話事業の実施方法を完全外注化にしたことで海外子会社の事業閉鎖に伴う関連費用を合わせて3億円計上したこと、2021年春の新規校舎開設に向けた先行投資を実施したことなども減益要因となった。

2. 2022年2月期の業績見通し

2022年2月期の連結業績は、売上高で前期比15.1%増の29,000百万円、営業利益で同148.4%増の2,510百万円と増収増益に転じる見通しだ。2021年4月末時点の生徒数は、「TOMAS」で前年同月比11.3%増、「名門会」で同18.8%増、「伸芽会」で同23.0%増と主力3事業で増加している。また新規出校による生徒数の一段増を見込んでおり、「スクールTOMAS」についても契約校数の増加による高成長が見込めるため、増収要因となる。利益面では、増収効果に加えて、「TOMAS」「伸芽会」で2021年春より価格改定を実施したこと、前期に計上した海外子会社関連の年間固定費約1億円が圧縮されることなどが増益要因となる。2021年4月以降に6都府県で緊急事態宣言が再発出されたが、前期のような休校措置は行っておらず業績への影響は今のところ出ていないようだ。

3. 中期経営計画について

同社は、新たな3ヶ年の中期経営計画を発表した。業績目標値として2024年2月期に売上高で35,500百万円、営業利益で3,710百万円を掲げた。感染防止策のインフラ整備を完了し、引き続き高品質な「本物」の教育サービスの提供と積極的な新規出校により生徒数を拡大し、年率2ケタ台の増収増益を目指していく。「スクールTOMAS」については大手SIerとの協業も進めながら、契約校数について2021年3月末時点の73校から2023年3月期までに100校まで拡大していく。また幼児教育事業では、異業種連携によって成長を加速していく。2021年4月に伸芽会とコナミスポーツ(株)が業務提携を発表し、今後約3年間でコナミスポーツの施設内において「伸芽’Sクラブ(しんが~ずくらぶ)学童」のプログラムを提供する「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」を約20校開校する予定となっている。また同社とコナミスポーツ、ヒューリック<3003>との業務提携により、子ども向け教育サービスに特化したワンストップ・サービス型ビル「こどもでぱーと(仮称)」の開発を推進していく構想を発表している。2022年を目途に第1弾を開業し、2029年までに首都圏で20棟まで広げていく予定だ。同構想が進めば、グループの複数の教育サービスを1ヶ所で提供できることになり、生徒数の増加とともに業務効率の向上にも貢献するものと期待され、今後の動向が注目される。

■Key Points

・コロナ禍の影響で2021年2月期は減収減益となるも、徹底した感染防止策による対面授業の早期再開は高い評価を受ける

・新規出校再開による生徒数増加で、2022年2月期はV字回復を見込む

・2022年2月期以降は異業種連携も含めた積極的な出校戦略により高成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

提供:フィスコ

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