【植木靖男の相場展望】 ─目先、仕手株物色に移行か
「目先、仕手株物色に移行か」
●直面する2つのリスク
日経平均株価は、ここへきて波乱含みの展開をみせている。6月21日、22日の急落、急騰は何だったのか? 最大の要因は、言わずと知れた米国のテーパリング、つまり量的金融緩和政策の縮小議論だ。
新型コロナへの対応もさることながら、これまで長期にわたって欧米先進国は成長を目指し量的金融緩和政策をとってきた。ところが、これまでとは全く違うインフレ懸念、長期金利の上昇という大きな変化に見舞われるようになってきた。つまり、世の中の景色が大きく転換する羽目になりそうなのだ。こうした際、混乱が起きるのは世の常である。株式市場も例外ではない。
とはいえ、FRB(米連邦準備制度理事会)のテーパリングの議論はまだ始まったばかり。まだ芽にすぎない。しかし、芽は必ず育つ。景気が回復すればするほど、テーパリングの壁にぶつかる。この壁を乗り越えて、株価が上昇するのにはどうすればよいのか。
大きな流れでいえば、増えすぎたマネーの量に実体経済が追いつくか、実体経済に見合うようにマネーを減らすしかない。これがうまくいかないと、インフレ懸念、長期金利の上昇が拡大することになる。株価はこのギャップを乗り越えることができるのか?
では、わが国はどうするのか? 依然としてデフレ基調から抜け出せず、とてもテーパリングなどという段階ではない。欧米先進国の金利が上昇をみせるとき、わが国にはそうした出口はないのが現状である。
とはいえ、ここでコロナワクチンの接種率が高くなれば、景気が回復することは間違いないだろう。
ただし、当面は2つのリスクを抱えている。ひとつは、米国株価は新たな上昇基調に入れるのかどうか。いまひとつは、迫るオリンピック・パラリンピックの中で、コロナの感染拡大を抑え、二度と緊急事態宣言を発出せずにこの夏を乗り切れるか。
●株価の“若さ”がポイントに
以上を踏まえて、当面の株価を見通すと、6月15日の2万9441円と21日の2万8010円(ともに終値ベース)の1500円幅のレンジ相場を抜け出すのはかなり難しいように思える。
では、こうした窮屈な市況環境の中、物色の流れをどう捉えたらよいのか。ここへきて日替わりメニューのように景気敏感株とハイテク株が交互に物色されている。米国で NYダウ平均とナスダック指数が交互に物色されていることに起因する。
だが、この1年、主役として物色されてきた銘柄群の多くはすでに年初来高値を抜いたとしても、さらなる上昇を望めるのか。かつての罫線(チャート)理論の大家である木佐森吉太郎氏に言わしめれば、おそらく老年期入りとするだろう。そのためか、ここ同じ業種であっても出遅れ株物色が盛んである。また、新たな仕手株も芽生え始めている。これらは要するに株価が若いのである。
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2021年6月25日 記
株探ニュース