経済を止めない。イー・ギャランティとは何者か イー・ギャランティ 江藤公則社長インタビュー

材料
2021年7月5日 15時01分

企業が抱える売掛債権の保証を手掛けるイー・ギャランティ<8771>。売掛金が回収できなくなるリスクを回避したい企業の需要をつかみ、コロナ禍においても高成長を続けています。アフターコロナにおける同社の成長見通しはいかに。同社の江藤公則(えとうまさのり)社長にお話を伺います。

◆リスク情報が集まる、イー・ギャランティ

馬渕 売掛債権の保証は、平常時では存在のありがたみを忘れてしまいがちですが、コロナという危機に直面して御社のサービスが注目を浴びていますね。

江藤 世の中を支え、経済を回すためにも売掛債権の保証が必要だということです。

馬渕 全国各地の「リスク情報」がイー・ギャランティに集まっていますね。

江藤 年間30万件の企業の審査依頼、累計14万超えの信用保証をし、220万社を超える信用情報データを持つことから、日本経済の先行き、トレンドを占うことができます。

馬渕 この先の日本経済をどう見ていますか。

江藤 企業の倒産件数に関しては、低く抑えられています。これは、政府のサポートが効いているからです。とはいえ、これは「延命」の側面も強いため、今後、緩やかに倒産件数が上昇してくると予想しています。いくら借入をしても利益が上がらない会社を続けることはできませんから。

◆20期連続増収増益の見通し

馬渕 御社の売上高を見てみると、19年55億円→20年59億円→21年71億円と拡大が続けていますね。足元の通期決算の業績について詳しく教えてください。

江藤 21年3月期連結決算は2ケタ増収となり、19期連続増収増益を達成しました。売上高は前期比20.8%増の71.94億円、営業利益が同13.6%増の30.88億円、経常利益が同13.0%増の31.08億円です。新型コロナウイルスに対応して、顧客ニーズの高まりに合わせた新商品を開発し、タイムリーに提供したことで新規契約が増加したことも要因に挙げられます。

馬渕 来期の見通しはいかがでしょうか。

江藤 22年の売上高は前年比18.1%増の85億円、経常利益は同20.6%増の37.5億円を見通しています。

馬渕 22年も2桁増収増益ですね。素晴らしいです。株主還元の考えはいかがでしょう。

江藤 株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして考えています。ここまでお話してきたように、足元の業績が堅調であることを踏まえて、株主還元を従来以上に高めることが可能であると判断しています。従来14円だった年間配当を、2021年3月期は22円としています。

馬渕 少し疑問点があります。コロナで信用不安が拡大したことが、御社のサービスが拡大したようにも感じます。ワクチン接種で、経済が正常化する中でも成長は継続するのでしょうか。

江藤 実は、当社は好況・不況のどちらでも業績が伸びるように設計したビジネスモデルなのです。今一度、ビジネスモデルをお話しましょう。

馬渕 お願いいたします。

◆イー・ギャランティの強み

江藤 売上高は「保証残高×保証率」で決まる『ストック型のビジネスモデル』です。

馬渕 はい。

江藤 保証率に関しては短期で大きく変動しないことから、保証残高をいかに積み上げていけるかが、売上高成長の鍵を握ることになります。21年3月末の保証残高は6,371億円です。初めて馬渕さんに取材してもらったのは2018年でしたね。

馬渕 確か…遡ること3年前。あの当時の保証残高は3,453億円でした。つまり、3年で保証残高が1.8倍ですね。これが、ストック型で積みあがる。

江藤 もう少し、踏み込んでお話しましょう。ワクチン接種が進むとはいえ、我々のところに集まっているデータを分析すれば、不透明な経済環境の中、現状では倒産件数の増加が見込まれます。リーマンショックの時のように、倒産件数が急激に増加して、また戻るような形ではなく、長期間にわたり倒産企業の増加が続くイメージをしています。であれば、保証料率も低下しにくいと想定しています。今後も、保証ニーズの高まりを背景とし、保証残高の積み上がり、保証料率も高止まりが予想されます。

馬渕 倒産件数が想定以上に増加、または減少しても、倒産件数に応じて売上部分の保証料率が変動するため、利益予想が大きく変ブレることがないのも、御社の強みでしたね。

◆イー・ギャランティとは、何者か

馬渕 イー・ギャランティは、金融の側面で日本経済を支えている企業だと認識しています。

江藤 経済は「信用が信用を産んで」大きくなっていくことで回っていますよね。みんなが、「不安だ、不安だ」と思っているとどんどんと経済がシュリンクしていきます。ただ、コロンでダメージを受けている業種もたくさんあります。ダメージがあるけれども、少し支払いに猶予があれば倒産せずに済む企業もあります。そういった企業と取引を継続して続けてもらうためにも、同社のような売掛債権の保証でリスクをヘッジする存在意義があるのです。互いに『信用を相手に与え合うことで』、経済が回るのです。売掛債権の保証が世の中を支え、経済を回すためにも必要だと強く思い、活動しています。

馬渕 企業向けだけでなく、「給与立替」の保証も手掛けていますね。

江藤 今まで、保証事業を行ってきた強みがあり、リスク取れない部分に入り込む事を得意として、新しい金融分野にも事業展開しています。具体的な導入事例としては、給与立替払いサービスを展開しているフィンテックベンチャー企業において、給与立替分の未回収リスクに対して保証していくサービスを提供しています。給与立替払いサービスは、コロナ以前から、人材確保や人材の定着率の向上を目的にしている企業の導入が増えていました。今回の危機の状況では、給与立替払いは、人材を守ることにも繋がります。

馬渕 ありがとうございました。

<聞き手・構成/経済アナリスト 馬渕磨理子>

《NB》

提供:フィスコ

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