もうすぐ億り人、名古屋の著名投資家「なごちょう」さんのじっくり勝つ技-下
第24-2回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(ケーススタディ編)
登場する銘柄
なごちょうさん(40代・男性・兼業投資家) | |||
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日本株運用資産 | 9100万円 | ||
累積投資元本 | 1500万円 | ||
累積リターン | 不明 | ||
投資スタイル | 主にキャッシュリッチで割安な銘柄に着目、 相場全体の暴落時に買いを入れ長期投資する | ||
主な保有期間 | 平均で5年程度 | ||
保有銘柄数 | 225銘柄前後 | ||
投資開始年 | 1995年 | ||
他の投資対象 | なし | ||
自身の性格分析 | 好奇心が強く知りたがり | ||
好きな言葉 | 上がってよし 下がってよし の株価かな | ||
なごちょうさんとは: 兼業投資家。 1995年、20歳で大学生の頃からアルバイトで貯めた50万円を元手に株式投資を開始。 バリュー株&高配当株を中心に、自身で選んだ「オリジナル225銘柄」でポートフォリオを構成し、 これを長期投資する。 普段から「暴落時に買いたい銘柄」ウォッチを続け、「〇〇ショック」などをチャンスと見て 買いを入れていく。 投資家が集まる勉強会にも積極的に参加し、幅広い観点からの自己研鑽も熱心だ。 写真は名古屋証券取引所の1階にあるモニターを令和元年初日に自身が撮影したもの |
前回記事「もうすぐ億り人、名古屋の著名投資家「なごちょう」さんのじっくり勝つ技-上」を読む
2回に分けて登場する、なごちょうさんこと名古屋の長期投資家さん(ハンドルネーム)シリーズの1回目では、なごちょうさんが選んだオリジナルの「225インデックス」を形成して、長期投資するその考え方を紹介した。
直近は、コロナ禍で波乱のあった2020年を除いては、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)を上回る好成績を得ながら、着実に資産拡大のコマを進めているという。
だが、こうした好調が続くのは03年前後の日本株の低迷により、なごちょうさんも大ヤラレしたこと、そしてその時の「気づき」がきっかけになっている。この苦い経験があったからこそ、なごちょうさんはパワーアップできた。
後半では、なごちょうさんを成長させた「気づき」と、それを得たバックグラウンドについて見ていく。
パワーアップは株価低迷と村上ファンド
「このままではイカン」。なごちょうさんが、そう気付いて投資の本気度にギアを入れ始めたのは、ちょうど日本株が米国発のITバブル崩壊の影響を受け、最悪期とも言っていいほど株価が低迷した時期だ。
カギになったのは、日経平均が7603円にまで落ち込んだ03年の日本株の深刻な低迷と、その時代に金融市場の話題を集めた「モノ言う株主」がもたらした企業経営のあり方の変化だった。
■日経平均株価の月足チャート(1999年1月~2021年6月)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
モノ言う株主とは、当時の村上ファンド、そしてそのファンドを率いる村上世彰氏だ。村上ファンドは、東京スタイル、ニッポン放送などの株式を徐々に買い集めていき、株主としての発言権を強大なものにしていく。
この動きによって、企業や金融市場には、「株主資本を効率的に生かさない、株主還元をおろそかにする、などの企業は他人に会社を乗っ取られる恐れも生じる」という、これまでにはなかった緊張感が走る。
その背景には、銀行が国内外で業務を続ける条件として、
・一定の自己資本比率の維持を義務化する国際統一基準のBIS(国際決済銀行)規制の導入、
・さらに簿価ではなく時価で保有資産を評価する時価会計制度の適用が進み、
・またこれらの新しい制度が影響して銀行が「保ち合い株」の解消の動きに加速がかかった、
――こともある。
「株式を持ち合うことで助け合う相手」がいなくなれば、村上ファンドのようなファンド勢からの買収リスクは高まり、企業はこれまでのように安穏としているわけにはいかない時代へと向かっていた。
モノ言う株主の株価押し上げに便乗
ただ、この動きは投資家にとってはチャンスでもある。株主資本を効率よく生かさない企業は、村上ファンドのような「モノ言う株主」にお尻をたたかれる形で、資本の効率化と企業価値の向上が求められる。
結局はそれが、株価上昇につながると考えるならば、村上ファンドが標的にするような企業の株を先回りして買っていけばいい。
なごちょうさんは、こう考えて、村上ファンドのような投資をしたいと考えるようになっていった。株価低迷により自身の運用資産の大幅なドローダウンに落ち込むばかりではなく、時代の流れを読んで、新しい方策を考えていったのだ。
またこの時期は、りそなホールディングス<8308>と、その傘下のりそな銀行の経営危機問題で金融市場に緊迫感が高まっていた頃でもあった。
りそな銀行は旧大和銀行と、旧あさひ銀行が合併して発足したメガバンクの一角だったが、ほどなくして経営悪化に追い込まれ、この一件は、最終的には2兆円規模の公的資金注入を受けたうえで、国有化という形で事業存続にいたるという歴史的な出来事となる。
なごちょうさんにとっても、一昔前までは安泰だと思われていたメガバンクの経営も、いとも簡単に財務悪化に転落する厳しい現実を見せつけられた案件だった。
このことにより、なごちょうさんはこれまで以上にシビアな目で、決算書など企業の開示情報のチェックを見ていくこととした。
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