新興市場見通し:決算見極めムードか、好業績株やIPO銘柄を個別物色へ
今週の新興市場では、日経平均とともにマザーズ指数、日経ジャスダック平均とも下落した。世界的な新型コロナウイルス感染再拡大などから投資家心理が悪化し、国内外の株式相場の下落とともに新興株にもリスク回避目的の売りが出た。また、週後半からの4連休を前に、これまで賑わっていた直近IPO銘柄などには手仕舞い売りが広がった。連休直前は買い戻し主導で反発したが、さすがに戻りを試す動きは限られた。売買代金も前の週と比べるとやや低調だった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.6%であったのに対して、マザーズ指数は-1.8%、日経ジャスダック平均は-0.7%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>が週間で2.4%安、ビジョナル<4194>が同6.4%安と軟調。売買代金上位ではベイシス<4068>、Enjin<7370>、ステムセル研究所<7096>などこれまで人気だった6月上場銘柄や、前の週に上場したばかりのラキール<4074>が軒並み大きく下落した。また、オンコセラピー・サイエンス<4564>は食道がん向け導出薬の治験結果をネガティブ視した売りがかさみ、週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、フリー<4478>が同2.5%高、JMDC<4483>が同5.5%高と堅調。リファインバースグループ<7375>やi-plug<4177>は上昇率上位に顔を出した。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同3.6%安と軟調で、時価総額4位に後退。売買代金上位では直近上場のアルマード<4932>が売りに押され、サン電子<6736>などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。一方、ワークマン<7564>は同2.2%高、ウエストHD<1407>は同5.3%高と堅調。テーオーHD<9812>は前の週末からの買いが続き、上昇率トップとなった。IPOでは7月20日上場のアシロ<7378>が公開価格を約28%、21日上場のランドネット<2991>が約39%上回る初値を付けた。
来週の新興市場では、連休中の米国株の上昇を受けて買いが先行しそうだが、その後は一進一退の展開になるとみておきたい。米国株は堅調な企業決算が株価の押し上げに寄与しているが、日本では東京都に緊急事態宣言が発出中で、新型コロナ新規感染者数も高水準で推移。決算や今後の見通しを確認したいというムードは根強く残るだろう。新興市場全体で100社前後の決算発表、それとマザーズに3社の新規上場が予定されており、好業績株やIPO銘柄の個別物色中心となりそうだ。
来週は、7月27日にマクアケ<4479>、28日に東映アニメーション<4816>、沖縄セルラー電話<9436>、29日にドリコム<3793>、セプテーニ・HD<4293>、Jストリーム<4308>、30日にセリア<2782>、ニッポン高度紙工業<3891>、弁護士ドットコム<6027>、テクノホライゾン<6629>などが決算発表を予定している。新興市場でも決算発表が本格化し、時価総額上位企業も早々に登場する。
IPO関連では、7月27日にサーキュレーション<7379>、28日にブレインズテクノロジー<4075>、29日にデリバリーコンサルティング<9240>がマザーズへ、30日にAIメカテック<6227>が東証2部へそれぞれ新規上場する。投資家の初値買い意欲は根強いようだ。AIメカテック上場後、次のIPOは8月20日となる。なお、今週はジェイフロンティア<2934>(8月27日、マザーズ)の新規上場が発表されている。
《FA》