為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、経済正常化期待でドル売り縮小も
【今週の概況】
■米景気回復への期待でドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。新型コロナウイルス変異株の流行によって世界経済の持続的な回復が阻害されるとの懸念が高まり、リスク回避の円買いや米長期金利低下に伴うドル売り・円買いが先行した。ドル・円は週初に109円07銭まで下落する場面があった。しかしながら、新型コロナウイルス変異株の感染流行に対する過剰な警戒感は低下し、米長期金利は反転したことや、米国株式の上昇を意識して週後半はリスク選好の円売りが優勢となった。
23日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時110円59銭まで買われた。米国の景気回復への期待が再び高まり、リスク選好的なドル買いが観測されたが、この日発表された7月マークイットサービスPMI速報値が市場予想を下回ったことや、イエレン米財務長官が連邦政府の債務不履行リスクについて言及したことからドル買いは一服し、110円55銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円07銭-110円59銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、経済正常化期待でドル売り縮小も
来週のドル・円は、底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)は7月27-28日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で早期の金融引き締めに慎重な姿勢を維持すると予想されており、リスク選好的なドル買いが大きく広がるとの見方は少ないようだ。ただ、米国経済正常化への期待は維持されており、新型コロナウイルス変異株の感染流行が引き続き警戒されているものの、リスク回避的なドル売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。
FRBは7月27-28日開催のFOMCで現行の金融緩和策を維持する公算だが、今回の会合では、資産買入れの段階的な縮小(テーパリング)を巡る議論が注目される。パウエルFRB議長は今月14-15日の議会証言でインフレ高進は一時的との見解を示しており、早期の利上げや緩和縮小には否定的とみられている。FOMCメンバーの一部は早期利上げに傾いているようだが、量的緩和策の縮小を急ぐ必要性は高まっていないと予想される。FOMC声明で量的緩和策の早期縮小について慎重な姿勢が表明されても、主要通貨に対するドル売りが特に強まる可能性は低いとみられる。なお、29日発表の4-6月期国内総生産(GDP)は1-3月期の6%台を超える成長が見込まれており、市場予想と一致した場合、経済正常化への根強い期待感から株高・金利高・ドル高につながる可能性がある。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(27-28日開催予定)
FRBは27-28日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で、現行の緩和的な政策を維持する公算。6月会合ではFOMCメンバー間の見解が分かれていたが、量的緩和策の段階的な縮小について肯定的な見解が表明された場合、ドルは売りづらい。
【米・4-6月期国内総生産(GDP)速報値】(29日発表予定)
29日発表の米4-6月期国内総生産(GDP)速報値は+8.1%と、1-3月期の6%台の成長を上回る公算。想定に沿った内容なら正常化への期待により株高・金利高を手がかりにドル買いの要因となりそうだ。
予想レンジ:109円50銭-111円80銭
《FA》