明日の株式相場に向けて=レンジ相場で中小型株優位の地合いに
週明け26日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比285円高の2万7833円と続伸。米国株市場が鬼神のごとき上昇相場を演じており、さすがに東京市場の出遅れ感が意識される状況となった。しかし、満を持しての切り返しと行きたいところだったが、イメージしていたほどは強くないというのがきょうの相場だった。
上値の重い理由に挙げられているのは、新型コロナウイルスの感染拡大、特に感染力の強いとされるデルタ株の蔓延だが、相場的には悪材料には違いないが距離感がつかめていることで、よほどのことがない限り波乱要因とはなりにくい。それよりも今懸念されるのは、中国で景気のピークアウト懸念と合わせて政治リスクも無視できない状況にあること。きょうの相場で日経平均の頭を押さえたのは、中国・上海総合指数と香港ハンセン指数の下げによる。中国のここにきての規制強化の動きはネット企業だけではなく、教育産業にも矛先が向いている。「米国を意識した規制強化というよりは、儲かっている企業を狙い撃ちするような意味合いが強い。貧富の差が広がる国民の政権批判を封じ込める狙いで、当局が動き出しているとすれば自分の首を絞めることにもなりかねない」(中堅証券ストラテジスト)という声も聞かれる。
日経平均は当面ボックス圏での往来が続くという声が市場関係者の間では強い。過剰流動性が相場の下値を支えるが、今のところ米国のような青天井相場に発展する気配は感じられない。売り方の立場ではそうそう乱暴はできないが、買い方も戻りで一回売りたいという思惑が相場の足かせとなっている。2万9000円ラインの完全突破が中期展望における要衝となる。
全体がレンジ相場の様相を強めれば、個別は中小型株重視の地合いが続くのが道理だ。そのなか、放電加工機でグローバルニッチ企業の一角を占めるソディック<6143>に着目。21年12月期営業利益は前期比2.2倍の41億円見通しだが一段の増額修正の可能性を内包しており、1000円大台近辺は狙える水準と思われる。同じくグローバルニッチで見落とされているのがOSG<6136>で、こちらは業績急回復で脚光を浴びたが、タップやダイスなどのねじ切り工具で世界屈指の商品競争力がバネとなっている。
また、株価面ではソディック同様に1000円トビ台に位置していた銘柄で、6月以降何度か取り上げてきたが、ここウネリを伴って上値指向を強めているGCA<2174>を引き続きマークしておきたい。M&A助言ビジネスを展開し日米欧のクロスボーダー案件に高い実績を持っていることが強みで時流に乗る。
低位株ではインプレスホールディングス<9479>が200円台後半で売り物を吸収し動兆気配。IT系書籍の先駆で最近はデジタルメディアに経営の重心を置き、ECプラットフォームや電子コミックプラットフォーム分野で新境地を開拓している。同じく低位株ではエスイー<3423>も売り板は厚いがジリジリと下値を切り上げる展開で、今後も目を配っておきたい。ここ数年来は370円台を上限とするボックス相場を形成しているが、仮に400円台に入れば上値真空地帯が待つだけに大相場に発展する可能性もゼロではない。
再生可能エネルギー関連も強い株が多い。発電所の設計から調達・施工までワンストップ対応で業績を伸ばすテスホールディングス<5074>が大幅高で最高値圏突入。また、米国を舞台に太陽電池製造装置を積極展開するエヌ・ピー・シー<6255>も強さを発揮している。このほかではAbalance<3856>も高値圏で頑強な動きを示しており注目しておくところ。同社の場合、太陽光発電はベトナムでの業容拡大に期待が大きい。株式交換で傘下に収めた子会社WWBがエネルギー貯蔵システムを開発する合同会社を設立、展開力を強めている。
あすのスケジュールでは6月の企業向けサービス価格指数、40年国債の入札など。海外では28日までの日程でFOMCが開催される。このほか、6月の米耐久財受注、7月の米消費者信頼感指数など。(銀)