前日に「買われた株!」総ザライ ―本日につながる期待株は?―

注目
2021年7月29日 5時30分

■サカイオーベ <3408>  3,715円 (+700円、+23.2%) ストップ高

東証1部の上昇率トップ。サカイオーベックス <3408> がストップ高。27日の取引終了後、MBOの一環として同社代表取締役社長である松木伸太郎氏が全株式を所有するサカイ繊維がサカイオーベ株に対してTOBを実施すると発表しており、TOB価格の3810円にサヤ寄せする格好となった。買い付け予定数は567万5533株(下限361万1900株、上限設定なし)で、買い付け期間は7月28日から9月8日まで。なおTOB成立後、サカイオーベは所定の手続きを経て上場廃止となる予定で、これを受けて東京証券取引所は、同社を27日付で監理銘柄(確認中)に指定している。

■川本産業 <3604>  1,099円 (+86円、+8.5%)

川本産業 <3604> [東証2]、中京医薬品 <4558> [JQ]が逆行高。ここ新型コロナウイルスのデルタ型の感染が世界的に拡大している。国内でも、前日27日に東京都の新規感染者数が過去最多となるなど増加傾向が顕著となるなか、株式市場では昨年の感染拡大初期に物色が向かった一連の新型コロナ対策関連株が再び買われる展開となった。アゼアス <3161> [東証2]や興研 <7963> [JQ]、重松製作所 <7980> [JQ]なども高い。

■三菱自 <7211>  309円 (+24円、+8.4%)

東証1部の上昇率6位。三菱自動車工業 <7211> が続急伸。同社は27日の取引終了後、22年3月期の連結業績予想の上方修正を発表した。純利益を100億円から150億円(前期3123億1700万円の赤字)へ増額しており、これが好感されたようだ。売上高見通しも、2兆600億円から2兆800億円(前期比42.9%増)へ小幅に引き上げた。足もとの実勢を踏まえ費用の抑制や為替影響の好転を反映し、業績予想を修正した。また、今期のグローバル販売台数計画を96万7000台とし、従来計画の95万7000台から見直した。なお、同時に発表した第1四半期(4-6月)決算は、売上高4319億4000万円(前年同期比88.2%増)、純利益60億9100万円(前年同期1761億5700万円の赤字)だった。

■東京産 <8070>  711円 (+42円、+6.3%)

東証1部の上昇率8位。東京産業 <8070> が急反発、一気に700円台を回復。3月22日につけた年初来高値708円にツラ合わせとなった。三菱系の機械商社で、太陽光発電バイオマス発電など再生可能エネルギー分野への注力を標榜していることで、国策を追い風とする脱炭素関連の有力株として頭角を現している。2023年3月期を最終年度とする中期経営計画(連結)では、営業利益段階で37億円(21年3月期実績19億4100万円)を掲げており、テーマ性だけではなく株価指標面でも時価予想PER9倍台、PBR0.7倍前後は割安感が際立っている。

■シマノ <7309>  29,930円 (+1,195円、+4.2%)

東証1部の上昇率9位。シマノ <7309> が全体下げ相場に抗して4連騰。同社は自転車部品の世界トップメーカーだが、業績は絶好調に推移している。27日取引終了後、21年12月期業績予想の上方修正を発表した。売上高は従来予想の4555億円から5000億円(前期比32.3%増)、営業利益は1050億円から1245億円(同50.5%増)に大幅上乗せした。増額前の段階で営業利益は過去最高利益を更新する見通しにあったが、そこから更に上積みされる形となる。コロナ禍で移動手段に自転車を活用する動きが活発化し業績押し上げ要因となった。好業績を背景に株主還元の動きも強化、今期年間配当を従来計画の155円から235円に引き上げたほか、発行済み株式数(自社株を除く)の1.9%にあたる180万株、500億円を上限とする自社株買いを実施することも併せて発表、これが株価を強く刺激する格好となった。

■日清粉G <2002>  1,792円 (+70円、+4.1%)

日清製粉グループ本社 <2002> が大幅高で5日続伸。27日の取引終了後、22年3月期連結業績予想について、売上高を6600億円から6700億円(前期比1.4%減)へ、営業利益を282億円から292億円(同7.4%増)へ、純利益を181億円から193億円(同1.5%増)へ上方修正したことが好感された。第1四半期(4-6月)で、国内製粉事業が前年の新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向となったほか、中食・総菜事業の増収や、海外製粉事業の小麦相場上昇などによる収益改善が要因。なお、第1四半期決算は、売上高1592億2000万円(前年同期比3.9%減)、営業利益73億3400万円(同41.4%増)、純利益55億3500万円(同27.7%増)だった。

■菱製鋼 <5632>  1,113円 (+44円、+4.1%)

東証1部の上昇率10位。三菱製鋼 <5632> が地合い悪に抗して3連騰、6%近い上昇で今月14日につけた年初来高値1127円を奪回し新値街道に突入した。自動車向けなどを中心に特殊鋼やバネを生産しており、世界的な自動車販売の好調で収益環境は良好だ。21年3月期は営業損益が49億4300万円の赤字だったが、22年3月期は30億円の黒字に転じる見通し。トップラインの伸びが顕著で利益を押し上げる。PER5倍台、PBR0.4倍台と株価指標面で超割安圏にあることで、水準訂正期待が大きい。

■ピックルス <2925>  3,745円 (+130円、+3.6%)

ピックルスコーポレーション <2925> が大幅続伸。27日の取引終了後、8月31日を基準日として1株を2株に株式分割すると発表したことが好感された。投資単位当たりの金額を引き下げることで、投資しやすい環境を整えるとともに、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることが目的という。同時に、毎年2月末時点の株主に対して行っている株主優待制度について、株式分割後も現行の株主優待制度を継続するとしており、実質的な制度拡充となる。

■トクヤマ <4043>  2,373円 (+79円、+3.4%)

トクヤマ <4043> が4日続伸。28日9時に発表した22年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比12.7%増の74億9600万円となった。6四半期ぶりに増益に転じており、これが好材料視された。原燃料コストの増加などがあったものの、塩化ビニルモノマーの海外市況が上昇したことに加え、半導体関連製品などの販売が堅調に推移したことなどが寄与した。なお、売上高は収益認識会計基準を適用した影響などで前年同期比4.4%減の674億9700万円だった。

■シックHD <7365>  784円 (+26円、+3.4%)

シック・ホールディングス <7365> [東証M]が4連騰で年初来高値を連日更新。27日の取引終了後、21年9月期の連結最終利益を従来予想の4億4600万円から16億4600万円へ上方修正すると発表。2期ぶりに過去最高益を更新する見通しとなり、これが好材料視された。同社は連結子会社のアクトコールとTSUNAGUを株式交換によって、ジャパンベストレスキューシステム <2453> へ譲渡することを決定した。これに伴い、算定した株式価値をベースとした試算において約18億円の特別利益が発生するとともに、法人税調整額を約6億円計上する見込みとなったことが上振れの要因になる。同社は株式交換を通じて、高い収益性と成長力を持つ決済ソリューション事業に経営資源を集中させるとともに、JBRとは株式交換に伴う資本業務提携によって協業を進める方針だ。なお、JBRの株価も大幅高となっている。

■エステー <4951>  1,792円 (+58円、+3.3%)

エステー <4951> が大幅反発。28日午後1時30分ごろ、22年3月期第1四半期(4-6月)の決算を発表し、売上高は107億6900万円、純利益は6億8200万円だった。今期から「収益認識に関する会計基準」が適用されるため単純比較はできないが、会社側による前期に新基準を適応したと仮定した増減率では増収増益となることから、これを好感した買いが入ったようだ。エアケアやハンドケアなどのカテゴリーが堅調に推移したほか、マーケティング費用が減少したことなどが業績押し上げにつながった。なお、通期見通しは従来予想を据え置いた。

■KOA <6999>  1,742円 (+54円、+3.2%)

KOA <6999> が3日続伸。27日の取引終了後、非開示だった22年3月期上期(4-9月)の連結経常利益が前年同期比6.3倍の38億8000万円になりそうだと発表。また、上期配当は16円(前年同期は4円50銭)実施する方針としており、これを好感する買いが入った。同時に発表した第1四半期(4-6月)の同利益は前年同期比4.2倍の20億1200万円だった。昨年の新型コロナウイルス感染拡大で世界経済が停滞した影響から需要が回復し、すべての地域で自動車向け抵抗器の販売が大幅に増加したという。なお、通期の業績見通しと配当予想は引き続き未定としている。

■アジャイル <6573>  500円 (+12円、+2.5%) 一時ストップ高

アジャイルメディア・ネットワーク <6573> [東証M]が3日続伸。今月12日に大量保有報告書を提出したサイブリッジが27日の取引終了後、財務省に変更報告書を提出し、サイブリッジの同社株式保有比率は5.01%から9.99%に増加したことが判明。これを受けて思惑的な買いが向かった。また同日、子会社クリエ・ジャパンが、富士通 <6702> の主催する富士通アクセラレータープログラム「Work Life Shift」の採択企業に決定したと発表したことも材料視されたようだ。クリエの提供する動画DXソリューション「PRISM」が富士通の全社DXプロジェクト「フジトラ」と連携し、新たな働き方改革の具体的なソリューションを創出するとしている。

■ACCESS <4813>  886円 (+14円、+1.6%)

ACCESS <4813> が反発。同社はIoTデバイスの開発やクラウドを活用した法人向けIoTソリューションなどを展開し、現在は電子書籍プラットフォームが収益の主軸を担っている。そうしたなか、27日取引終了後にNTT <9432> と同社が推進する「IOWN 構想の実現」を目的として両社が業務提携で合意したことが発表され、今後の業容拡大効果に期待した買いを呼び込んでいる。IOWNは光技術を使う通信網で、この活用を念頭に置いた提携となる。ACCESSにとっては通信メガキャリアとの連携で業績飛躍のチャンスとなる。

■積水樹 <4212>  2,213円 (+27円、+1.2%)

積水樹脂 <4212> が5日続伸。27日の取引終了後に発表した22年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算は、売上高140億1000万円(前年同期比7.7%増)、営業利益21億3000万円(同24.8%増)となり、これを好感する買いが優勢となっている。交通・景観関連事業で防音壁材が北陸新幹線延伸部に採用されるとともに高規格道路における更新需要の増加により大幅な伸長となったほか、総物・アグリ関連事業では環境配慮の梱包結束用バンドや農業・園芸関連資材などが好調だった。

■メルコ <6676>  5,950円 (+60円、+1.0%)

メルコホールディングス <6676> が4連騰で上場来高値を連日更新。27日の取引終了後に発表した22年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常利益が前年同期比3.1倍の34億1300万円に急拡大しており、これが好感された。Wi-Fiルーターを中心とするパソコン周辺機器を手掛ける主力のIT関連事業が業績を牽引した。コロナ禍によるテレワークや巣ごもり需要の拡大を背景に、個人需要が好調を維持したほか、空気清浄機やCPUといった代理店ビジネスが拡大したことなども収益を押し上げた。通期計画の100億円に対する進捗率は34.1%に達しており、11年3月期に記録した最高益(109億5400万円)の更新も視野に入る。

■東ガス <9531>  2,077円 (+20.5円、+1.0%)

東京ガス <9531> は全体軟調相場のなか堅調。同社は28日午後2時ごろ、22年3月期業績予想の上方修正を発表した。売上高を1兆8160億円から1兆9520億円(前期比10.6%増)へ、純利益を520億円から600億円(同21.2%増)へ増額した。同時に発表した第1四半期(4-6月)の決算は、売上高4082億1100万円(前年同期比1.8%減)、純利益158億800万円(同3.5%減)だった。あわせて、8月17日付で143万9500株(発行済み株数の0.33%)の自社株を消却すると発表した。なお、消却後の発行済み株数は4億4099万6559株となる予定だ。

※28日の上昇率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。

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