新興市場見通し:ジャクソンホール後反応は新興株に追い風、IPOは2社

市況
2021年8月28日 15時01分

今週の新興市場では、国内外の株式相場の反発とともに、マザーズ指数も戻り歩調となった。特に米国で金融緩和の早期縮小への警戒感が和らぎ、ナスダック総合指数が過去最高値を更新したことが新興株の追い風として働いたようだ。また、週後半になると米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」を前に主力大型株の手控えムードが広がり、個人投資家の物色が中小型株に向く場面もあった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+2.3%であったのに対して、マザーズ指数は+5.6%、日経ジャスダック平均は+2.4%だった。マザーズ指数は1080pt近辺に位置する25日移動平均線を上回った。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>が週間で2.5%高。前回の当欄で取り上げたJMDC<4483>は同5.1%高、JTOWER<4485>は同13.6%高となった。売買代金上位では業績上方修正のすららネット<3998>のほか、Enjin<7370>などが大幅高。また、HENNGE<4475>が製品連携のリリースなどを手掛かりに強いリバウンドを見せ、週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、フリー<4478>が同1.9%安とやや軟調で、プレミアアンチエイジング<4934>も小幅に下げた。また、前の週に上場したフューチャーリンクネットワーク<9241>などが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力では東映アニメーション<4816>が同12.3%高。親子上場を巡る思惑が一段と強まったようで、上場来高値を更新した。売買代金上位ではフェローテックHD<6890>や出前館<2484>が買い優勢。また、太洋物産<9941>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、日本マクドナルドHD<2702>が同0.6%安、ワークマン<7564>が同0.7%安と伸び悩み。また、8月半ばにかけて急騰していたプロルート丸光<8256>などが下落率上位に顔を出した。IPOは初値軟調で、タンゴヤ<7126>が公開価格を6.4%上回るにとどまったほか、ジェイフロンティア<2934>に至っては公開価格割れスタートとなった。

来週の新興市場では、買いが先行する展開となりそうだ。注目のジャクソンホール会議後の米市場反応は、期待インフレ率の指標が上昇する一方で10年物国債利回りが低下。ナスダック総合指数が再び最高値を更新したように、ハイテク株の追い風として受け止められるだろう。また、来週も米8月雇用統計など重要経済指標の発表が多く、引き続き中小型株に物色の矛先が向きやすそう。もっとも米インフレ過熱などの懸念はくすぶり、外部環境を注視しておく必要はあるだろう。IPO銘柄の弱さが際立つことから、銘柄選別姿勢が強いことも窺える。

前回述べたことと重なるが、この週末に新興IT株への海外マネー流入が報じられている。直近の有価証券報告書等に基づくものだろうが、掲載されていたHENNGEなどを見ると、足元でも海外勢が買いに入っている可能性はあるだろう。JMDCやクラウドワークス<3900>などの動向にも注目したい。

IPO関連では、9月2日にモビルス<4370>がマザーズへ、メディア総研<9242>がマザーズ及び福証Q-Boardへそれぞれ新規上場する。ともに公開規模の荷もたれ感はさほど強くないが、初値後軟調な直近IPO銘柄が多いため、初値買い機運は高まりづらそうだ。なお、今週は監視カメラシステムのセーフィー<4375>(9月29日、マザーズ)など7社の新規上場が発表されている。

《FA》

提供:フィスコ

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