為替週間見通し:ドルは底堅い動きか、量的緩和策縮小に向けた議論進展の可能性残る

通貨
2021年9月4日 14時28分

【今週の概況】

■量的緩和策の早期縮小観測後退でドルは伸び悩む

今週のドル・円は伸び悩み。月末に絡んだドル需要でドル・円は一時110円42銭まで買われたが、米国の雇用拡大ペースは鈍化したことから、ドル買いは縮小した。9月1日発表の8月米ADP雇用統計で民間部門の雇用者数は市場予想を大幅に下回った。3日発表の8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に下回る伸びにとどまり、量的緩和策の早期縮小観測は後退し、週末前にドル売り・円買いが優勢となった。

3日のニューヨーク外為市場でドル・円は109円59銭まで下落した。この日発表された8月米雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったことから、リスク回避的なドル売りが優勢となった。ただ、同日発表された8月ISM非製造業景況指数は予想を上回ったこと、8月の平均時間給の伸びは予想を上回ったため、リスク回避的なドル売りはやや一服。ドルは109円72銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円59銭-110円42銭。

【来週の見通し】

■ドルは底堅い動きか、量的緩和策縮小に向けた議論進展の可能性残る

来週のドル・円は底堅い値動きか。米国内での新型コロナウイルス感染増加が報告されており、直近発表の主要経済指標は強弱まちまちであることから、米国経済の早期正常化を期待したドル買いは一服している。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月27日、国際経済シンポジウムでの講演で資産買入れの段階的縮小(テーパリング)の意義を強調したが、量的緩和策の縮小は早期利上げを示唆するものではないとし、利上げを急がない方針を示した。

ただ、今月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で量的緩和策の縮小に関する議論は進展する可能性は残されており、リスク回避的なドル売りがさらに広がる可能性は低いとみられる。市場関係者の間では「8月の雇用統計は期待外れだったが、今月21-22日開催のFOMCに向け、FRB関係者から量的緩和策の早期縮小について前向きな発言が出てくる」との声が聞かれている。米国金利の先高観は再浮上する可能性があるため、ドル買い・円売りがさらに縮小する可能性は低いとみられる。

【米・新規失業保険申請件数】(9日発表予定)

9月9日発表の米新規失業保険申請件数は、減少傾向を維持できるか注目される。8月の非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に下回ったが、新規失業保険申請件数が減少し、雇用情勢の改善が示された場合、金利高を背景にドル買いに振れやすい。

【米・8月生産者物価コア指数(PPI)】(10日発表予定)

9月10日発表の米8月生産者物価コア指数(コアPPI)は前年比+6.6%と予想されている。上昇率は7月実績の6.2%を上回る見込み。市場予想と一致、または上回った場合、インフレ進行の思惑が強まり、ドル買い要因となりそうだ。

予想レンジ:108円50銭-111円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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