アルプス技研 Research Memo(2):開発・設計分野に特化し、高度・先端技術に対応

特集
2021年9月16日 16時02分

■事業概要

1. アウトソーシングサービス事業

アウトソーシングサービス事業は、アルプス技研<4641>の中核事業である。同社は、ものづくりの上流工程である開発・設計分野に特化し、開発設計エンジニアによる高度技術サービスの提供をビジネスモデルの中心に位置付けている。

サービス提供の形態には派遣と請負の2つがあり、顧客の多種多様なニーズに対応し、同社エンジニアのより高いパフォーマンスを発揮させている。派遣については、スポット派遣とチーム派遣の形態がある。請負についてはプロジェクト受託で、オンサイト(客先構内常駐型)とオフサイト(同社テクノパーク等への持帰り型)がある。

また、設計事務所として創業された当初から「機電一体設計」をコンセプトとし、メカトロニクス全域の技術ニーズに対応している。特に、ものづくり拠点を持つユニークな業態を強みに、グループ全体で開発→試作→製造→評価にわたるマニュファクチュアリングのすべてのプロセスの対応が可能な体制を有している。なかでも、同社の主な技術対応領域は上流工程で基礎研究、製品企画、構想設計、詳細・量産設計、試作・実験、評価・解析などであり、高度な技術力を要する領域に優位性を持っている。

技術分野では、機械設計、電気・電子設計、ソフト開発、化学などが中心である。IoTやAI等、先端技術の開発設計のほか、さらなる需要が期待される3D-CAD、CAE技術、航空宇宙関連、医療関連、ロボット開発技術など様々な先端技術を重点項目としており、顧客企業の業種は、自動車、半導体・LSI、産業機器、デジタル・精密機器、航空・宇宙・防衛、医療・福祉機器など多岐にわたる。

当該事業に属する連結子会社には、総合人材サービスの(株)アルプスビジネスサービス、2016年9月にグループ入りした技術者派遣事業の(株)パナR&D、2020年7月にグループ入りしたデジタル・スパイス※1がある。また、持分法適用関係会社には、2020年3月に同社を含む5社の共同出資により設立した(株)DONKEY※2がある。

※1 約20年間にわたり、機械、電気・電子、ソフトウェアの受託業務、技術者派遣を手掛け、「信州から世界へ」をキーワードとし、デジタル技術をコアに設計開発の一連の業務に対応してきた。近年は、宇宙の小型探査機(はやぶさ)の開発にも協力するなど、高い技術力を持つプロ集団として顧客のものづくりを支援している。

※2 2017年11月に(株)日本総合研究所や慶應義塾大学等が実施していた次世代農業ロボット開発コンソーシアムに同社が参画し、事業化したものである。同社のほか、情報技術開発(株)、日本総合研究所、ユアサ商事<8074>、渡辺パイプ(株)(50音順)による共同出資となっている。

2. グローバル事業

現在の海外子会社は、台湾の臺灣阿爾卑斯技研股フン有限公司、中国の阿邇貝司機電技術(上海)有限公司のほか、2020年10月に設立したミャンマーアルプス技研の3社となっている。海外の日系企業等に対する生産設備等の据付業務及びメンテナンス業務並びに付随する人材サービスの提供に加え、ミャンマーアルプス技研では「アルプス技研高等職業訓練大学校」の運営を通じて、技術・農業・介護など様々な分野で活躍できる人材育成事業も手掛けている。経済のグローバル化が進展するなかで、グローバル事業の拡大は戦略軸の1つとなっている。

3. 新規事業(農業・介護関連分野)

2018年4月に設立したアグリ&ケアが展開している。立ち上げ期であるため、報告セグメントは現時点で「アウトソーシングサービス事業」の中に含まれている。成長産業へと向かう農業関連分野、人手不足が顕著となっている介護関連分野に対して、新たなモデルの人材派遣市場を創出するところに狙いがある。これらの分野は、AIやIoT、ロボットなどの最先端技術の導入や外国人材の活用がカギを握ると言われており、これまで培ってきた高度な技術力と人材育成(外国人材の採用を含む)のノウハウを生かせる領域で先行者利益を目指す戦略と考えられる。なお、2021年7月に訪問介護サービスを中心に事業を展開する「アルプスケアハート」を設立するとともに、アグリ&ケアは「アルプスアグリキャリア」に社名変更し、アグリ事業に特化する体制へと見直しを行った。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《EY》

提供:フィスコ

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