【村瀬智一が斬る!深層マーケット】中国リスクを警戒も、次期政権に対する政策期待が一段と高まる
「中国リスクを警戒も、次期政権に対する政策期待が一段と高まる」
●インデックス主導から、政策テーマに絡んだ銘柄へ
今週の日経平均株価は、祝日の影響で3営業日の取引となり、休場中に生じた外部要因に大きく振られる展開となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を21-22日に控えるなか、社債の利息支払い期限を迎える中国恒大集団の経営不安問題が警戒されて、20日の米国市場ではNYダウが600ドルを超える急落に。これを受けた21日の東京市場も急落し、日経平均株価は大台の3万円を割り込んだ。22日はFOMCの結果を見極めたいとの思惑に加え、23日に利払いを控える中国恒大の経営不安が警戒されて日経平均株価は続落。ただし、FOMCは予想通りの内容で無難に通過し、中国恒大に関しても警戒感がひとまず和らぐ格好となったことで、米国市場は22日、23日と大幅に続伸。東京市場でも24日の日経平均株価は大幅に反発し、直近の急落部分を埋めている。
中国恒大については、引き続き利払い期日が年末に向けて相次ぐことから、世界の金融市場に与える影響への懸念は燻ることになろう。ただし、中国当局は中国恒大にドル建て債で目先のデフォルト回避を指示したほか、中国人民銀行(中央銀行)もこのところ大量の資金供給を行っており、当局主導で状況の改善を狙っていると考えられよう。
また、国内では29日に自民党総裁選の投開票が行われる。次期総裁が決定することで材料出尽くし感が意識される可能性もあろうが、基本的には衆院選に向けて政策期待が一段と高まるシナリオ下にあるため、相対的に日本株優位の展開が見込まれよう。中国恒大を巡る動向には警戒しつつも押し目買い意欲は強く、物色の流れはインデックス主導から、政策テーマに絡んだ銘柄などへと広がろう。
●来週の活躍期待「注目5銘柄」
◆デクセリアルズ<4980>
粒子整列型異方性導電膜(ACF)や精密接合用樹脂では技術の高さとともに世界的なシェアを誇る。9月28日~29日の米ミシガン州で開催されるディスプレイとインターフェースのシンポジウムである「SID VEHICLE DISPLAYS & INTERFACES 2021」に、反射防止フィルムや光学弾性樹脂 「Jettable SVR」のほか拡散マイクロレンズアレイ、熱伝導シート炭素繊維タイプなどを出展する予定である。足元の業績は反射防止フィルムなどが堅調なうえ、新製品の蛍光体フィルムが順調な立ち上がりをみせている。株価は75日移動平均線を一旦割り込んだものの、25日線水準を支持線に反転。
◆日本電子<6951>
分析機器・理科学機器の中でも、電子顕微鏡や核磁気共鳴装置などハイエンド機器を多く擁することが強み。足元の業績は、電子顕微鏡を中心とした理科学・計測機器の引き合いが好調に推移しているほか、電子ビーム描画装置などの産業機器、生化学自動分析装置を中心とした医用機器など各セグメントが順調。株価は9月に入り9000円を挟んで保ち合いが続いたが、足元でこの保ち合いを上放れつつある。
◆インターネットイニシアティブ<3774>
10月1日より企業システムのフルクラウド化に向けた新しいクラウドサービス「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2」の提供を開始する予定。企業のIT環境に必要なコンポーネントを備えた各種マネージドサービスや、他社パブリッククラウドとの閉域接続を提供するネットワークサービスなど、同社の各種サービスと連携することにより拡張性の高いシステム環境を実現させる。次期政権に対する政策期待が一段と高まるなか、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の一角として注目。株価は9月13日につけた4265円をピークに調整をみせていたが、25日線を支持線にリバウンドへ。
◆SMK<6798>
足元の業績は、主力の コネクタがリモートワークやオンライン授業の拡大を受けてタブレット用が好調な半面、スマートフォン用では中国の減産による影響がみられた。ただし、スマートフォン用については、年末商戦に向けた需要の回復が見込まれよう。また、車載市場では世界的な自動車生産の回復を追い風に、コネクタのほかタッチセンサーなども高水準の受注が続こう。株価は8月23日につけた2107円を安値にリバウンドを継続。足元で調整をみせているものの、25日線が支持線として意識される。
◆CKD<6407>
空気圧機器・流体制御機器などの FA機器を幅広く手掛ける。足元の業績は、機器部門において半導体製造装置向けが好調なほか、自動車向けでは環境対応車に関連した製造設備向けが好調。株価は2150円水準での底固めを経て、9月に入りリバウンド基調を形成。足元では2600円を目前に高値保ち合いをみせているが、上放れから1月につけた年初来高値を射程に入れたリバウンドに期待。
2021年9月24日 記
株探ニュース