為替週間見通し:伸び悩みか、9月小売売上高が手掛かり材料に
【今週の概況】
■米債務不履行回避でリスク回避の円買い縮小
今週のドル・円は強含み。バイデン米大統領は10月4日、「債務上限突破回避を保証できない」と警告し、週前半は米国の債務不履行を警戒したリスク回避の円買いがやや優勢となった。しかしながら、与野党の指導部は7日までに、米国の連邦債務上限を12月上旬まで一時的に拡大する方針で合意したことを受けて、リスク回避的な取引は縮小し、米長期金利は反発したことから、ドル買い・円売りが優勢となった。投資家の多くがインフレ率の高止まりを警戒しており、米国株式は不安定な動きを見せたが、米国金利の先高観が広がっていることから、週末前にかけてリスク回避的なドル売り・円買いは一段と縮小した。
8日のニューヨーク外為市場でドル・円は、112円25銭まで買われた。この日発表された9月雇用統計で非農業部門雇用者数は、市場予想を大幅に下回る前月比+19.4万人にとどまったが、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内に量的緩和策の段階的な縮小に着手するとの市場の見方は変わらず、債券利回りの上昇を受けてドル買い・円売りが優勢となった。原油先物は約7年ぶりの80ドル台に上昇したことは円売り材料となった。ドル・円は112円24銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:110円82銭-112円25銭。
【来週の見通し】
■伸び悩みか、9月小売売上高が手掛かり材料に
来週のドル・円は伸び悩みか。今後発表される米国の経済指標が良好な内容であれば、連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和策の早期縮小観測は一段と強まり、長期金利の上昇を手がかりとしたドル買いが継続しそうだ。米連邦債務上限を12月上旬まで一時的に拡大する方針で与野党の指導部が合意したこともドル買い材料となった。
ただ、原油高などによってインフレ圧力はさらに強まる可能性があり、この動きを嫌って米国株式が下落した場合はドル相場を圧迫する要因となりそうだ。また、10月15日発表の9月米小売売上高は、前月比マイナスとなる可能性が高いと予想されており、景気減速を警戒して米国株式が下落した場合も、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる見込み。1ドル=112円近辺で顧客筋や短期筋のドル売りが増えるとの見方もドルの上昇を抑える一因となる。
なお、米国経済指標では、10月13日発表の9月消費者物価コア指数(CPI)も有力な売買材料となりそうだ。前年比+4.0%と予想されており、上昇率は8月実績と同水準になりそうだが、9月消費者物価コア指数が市場予想と一致、または上回った場合、米国金利正常化への思惑で金利先高観は続く見通し。
【米・9月消費者物価コア指数(CPI)】(13日)
13日発表の米9月消費者物価コア指数(CPI)は8月実績の前年比+4.0%から横ばいとなる見込み。ただし、市場予想を上回った場合、ドルの押し上げ要因に。
【米・9月小売売上高】(15日)
15日発表の9月小売売上高は前月比-0.2%と、再びマイナスへ転落の見通し。7月分はプラスへ転じたが、消費の弱さが露呈されれば減速への警戒により金利安・ドル安の要因となろう。
予想レンジ:111円00銭-113円00銭
《FA》