米国株式市場見通し:第3四半期決算シーズン開始
第3四半期の決算シーズンが金融業から開始する。強い結果に期待したい。トレーディングのアクティビティーが一時に比べ鈍化傾向ながら投資部門の業績は一段の拡大が見込まれる。また、金利収入の拡大にも期待したい。ただ、全般的には特に消費関連を中心にコロナ変異株流行の影響やサプライチェーン混乱で、業績が弱まる傾向に注意が必要だろう。
債務上限の暫定引き上げで、当面の債務不履行リスクが後退し景気循環株中心に買いが再燃しそうだ。新型コロナウイルスの変異株流行がピークを付けた兆しが見られ、欧米は入国者の隔離規制を緩和。ワクチン接種も進み、14-15日にはモデルナやジョンソン・アンド・ジョンソンの新型コロナブースター接種を巡る食品医薬品局(FDA)諮問委による協議も予定されている。不透明性はくすぶるものの経済活動の再開が一段と加速すると見られ、景気循環株の買いが再燃し、相場をけん引しそうだ。投資家の恐怖心理を示すVIX指数は9月末以降初めて20を下回った。ただ、サプライチェーンの混乱が改善するどころか悪化している兆候が見られ、高インフレ長期化の可能性がリスクとしてくすぶる。10月相場で、引き続き荒い相場には引き続き備える必要がありそうだ。なお、11日はコロンバスデーで債券市場は休場となる。株式や商品市場は通常通りの営業となる。
経済指標では、8月JOLT求人(12日)、9月消費者信頼感指数(CPI)(13日)、週次新規失業保険申請件数、9月生産者物価指数(PPI)(14日)、10月ニューヨーク連銀製造業景気指数、9月小売売上高、9月輸入物価指数、10月ミシガン大学消費者信頼感指数(15日)などが予定されている。特に、インフレ指標や小売売上高に注目。サプライチェーン混乱が影響し物価は上昇基調。9月小売りは再びマイナスに転じる見通しで7-9月期のGDPの成長を抑制する可能性がある。さらに、FRBは9月21日、22日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を13日に公表する予定で、注目したい。FRBはこの会合で、経済が一段と目標に向けて前進し、資産購入ペース減速が正当化され得ると言及。パウエル議長も今後の雇用統計などの結果が妥当であれば、11月のFOMCでFRBは量的緩和縮小を開始する可能性を示唆した。議長はまた、サプライチェーンの混乱が予想以上に長引いていることを指摘するなどタカ派色を強めつつあり、議事録の内容もタカ派に傾斜した場合、相場の上昇を抑制する可能性もありそうで、注意が必要だ。
主要企業決算では、金融でJPモルガン(13日)、バンク・オブ・アメリカ、モルガンスタンレー、ウェルズファーゴ、シティグループ(14日)、ゴールドマンサックス(15日)、そのほか、航空会社のデルタ(13日)、健康保険会社のユナイテッドヘルス、ドラッグストアのウォルグリーンブーツ、ピザチェーンを経営するドミノピザ、金属製品メーカーのアルコア(14日)などが予定されている。また、グーグルクラウドネクストカンファレンスが12日から14日にかけて開催される。携帯端末のアップルは10月15日に新型アップルウォッチ販売を開始。株価押し上げ要因として期待したい。また、オンライン小売りのアマゾン創業者ベゾス氏が設立した宇宙開発企業ブルーオリジンは民間宇宙企業ブルーオリジンの「ニュー・シェパードNS-18」打ち上げを予定している。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》