100万→10億→数十万円、それでも累計2億円を獲得した技
第31-1回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(ケーススタディ編)
登場する銘柄
うんばばさん(ハンドルネーム・40代・男性・専業投資家) | |||
日本株運用資産 | 3000万円 | ||
累積投資元本 | 100万円 | ||
累積リターン | 2億円 | ||
投資スタイル | ファンダ分析によるテーマ×グロース狙い | ||
主な保有期間 | 短中期(1週間~1カ月) | ||
保有銘柄数 | 6~10銘柄 | ||
投資開始年 | 2003年 | ||
他の投資対象 | なし | ||
自身の性格分析 | 楽観的 | ||
好きな言葉 | なし | ||
うんばばさんとは: 専業投資家であり2児のパパ。得意技はテーマ投資。 時流を読み、ニュースや決算資料から大化けしそうな材料を掴むのが得意。 大学卒業後に経験した投資顧問業時代に、決算資料の読み込みやIR取材を何十社も こなしたことが、今のファンダメンタルズ分析の基礎になっている。 平日は朝からパソコンの前に座り、銘柄分析&トレードに集中。 しかし最近は中学受験を控えた子どもの勉強指導につい熱が入り 「どっちが本業かわからなくなってきている」と笑う。画像は、愛車のテスラ。 |
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投資開始から19年間の累計リターンは元本の200倍。100万円で始めた原資は、その後、元本を追加することなく現在は2億円になっている。
だがその過程で10億円まで膨らました資産が数十万円になることも。ところが2003年からの年間成績は16勝1敗2分と高い勝率を上げている。
思わず「ほんとー」と口にしたくなるような投資編歴を重ねてきたのが、今回登場するうんばばさん(ハンドルネーム・40代・男性)だ。
長期的に何度も注目されそうなテーマの中から、ファンダメンタルズが強そうな有望銘柄を発掘し、信用取引を活用して効率的に稼いでいくスタイルだ。
信用でのレバレッジは基本的に最大にしており、それによって何度も危ない目に遭っている。2005年に10億円に膨らんだ日本株資産をライブドアショックとリーマン・ショックで数十万円まで溶かしたことがある。
その後、3000万円まで取り戻した含み益が東日本大震災によるマーケットの混乱で吹き飛び、1000万円の損失を抱える経験もした。
繰り返しになるが、こうした大ヤラレを食らいながら、年間成績はライブドアショックが起きた06年以外は、「負けなし」という。その秘訣はなにか。うんばばさんが取引にあたって意識しているのは次の3つになる。
・ インパクトを重視
・ 言質は絶対
・ 相場観は無用
これらの詳細を3回にわたって紹介していく。初回は、銘柄選びのコツである「インパクト重視」について触れる。
A balance、購入から半年で株価4倍
「インパクト重視」の戦略で、直近で最も上手くいった取引が太陽光発電事業を手掛けるA balance<3856>(以下、Aバランス)になる。
20年7月に株価800円台で購入し、4カ月後、2500円台に上昇したところで利確した。700万円以上の利益を得た銘柄だ。
成功のポイントは、出遅れテーマ株が動意づく要素をIR(投資家向け広報)発表や資料から見つけて、先回り投資に踏み切ったことだ。
同社は、投資家の注目を集めやすい再生可能エネルギー関連株の一角を占めるが、購入前はボックス圏で推移し、方向感を逸していた。
そうした中で、うんばばさんが注目をしたのが、海外グループ会社を子会社化する可能性だった。それを知るきっかけとなったのが、当時の『会社四季報』(東洋経済新報社)だ。
同社が出資しているベトナムの太陽光パネルメーカー・VSUNの子会社化を視野に入れているとの主旨の記載がされていた。
なぜ、これが注目に値するのか。うんばばさんが注目したのは、同社本体とベトナム会社の売上規模と成長力の違いだ。
■Aバランスの日足チャート(2020年4月~21年1月)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同
購入前となる20年夏前まで、Aバランスの売上高は毎年60億~70億円で推移していた。それに対して、出資先のVSUNの売上高は140億円と2倍以上の規模。それもAバランスに比べ「ものすごい勢いで伸ばしていた」と振り返る。
「子会社化が実現すれば、Aバランスの企業価値がまるっきり変わる」。それをいつどのように実施するかは不明だったが、その好材料がマーケットに気づかれていないと思えるうちに購入を開始した。
購入後、しばらく軟調な展開が続いたが、流れを変えたのが3カ月後の10月5日。同社が21年6月期の業績予想を上方修正、その要因としてうんばばさんが注目していたVSUNの連結子会社化が挙げられたのだ。
上方修正で、同社の通期の連結経常利益は従来予想の2.6億円から5.6億円と倍以上に膨らみ、当初の減益予想から前期比83.6%の増益見通しに転じた。
これに株価が反応、10月当初は1000円を割っていたが、発表後には2倍の2000円近辺まで急騰した。
■Aバランスのプレスリリース(20年10月5日)
出所:同社IR資料
さらに翌月の11月13日に発表した21年6月期第1四半期決算で、同社株は利益確定の売りと見られる値下がりの後、再び上昇に転じる。
1Qの連結経常利益は前年同期比83.1%増の3.3億円と、通期計画の5.6億円に対する進捗率が59.8%に達した。ひとまず想定していた水準に達したことで、うんばばさんは2500円近辺で売り抜けた。
このAバランス株の取引で成功を収められたのは、うんばばさんが普段から重視する3つの条件を、同社株が満たしていたからだ。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。