日本株の年末高はあるのか?!<東条麻衣子の株式注意情報>

市況
2021年10月26日 20時00分

株式市場は時期的には『ハロウィン効果』のアノマリー(ハロウィンの時期に株価が安値をつけ、その後、翌春にかけて上昇する動き)が表れてもおかしくないが、今年の日本株は年末高が期待できるのだろうか。

国内のイベントでは、衆院選挙や本格化する企業決算が投資家の注目を集めているが、本コラムでは原油価格と日経平均株価の関係について取りあげたい。

エネルギー価格の高騰は生活への影響が大きいだけに、各種メディアで報じられる機会も多く、今後の動向が気掛かりである人も多いことだろう。米WTI原油先物は2020年4月に史上初のマイナス価格を付けたのは記憶に新しいが、その価格は現在85ドル台と7年ぶりの高値水準にあり、年末には100ドルの大台に乗せると見る向きもある。

■WTI原油先物と日経平均株価

過去20年間で、WTI原油先物が80ドルを超えて100ドル超に上昇したケースは大きく見て2度ある。

(1)2007年9月~2008年8月 2007年9月に80ドルを超え、2008年8月には147ドルを付ける

(2)2010年10月~2011年5月 2010年10月に80ドルを超え、2011年5月に114ドルを付ける

この間の日経平均株価の動きはというと、下記の通りである。

(1)2007年9月の1万6929円から2008年10月には6994円まで下落(-58.6%)

(2)2010年10月の9716円から2011年3月には8227円まで下落(-15.3%)

WTI原油先物と日経平均株価は必ずしも逆相関で動くわけではないが、過去にWTI原油先物が80ドルからレンジを切り上げて推移する場面では日経平均株価は下落基調であったと言える。

そもそも日本は資源を海外からの輸入に頼っており、エネルギー価格の高騰は企業業績を圧迫する要因となる。ましてや現在は1ドル=114円台前後まで円安が進んでおり、原材料の仕入れコスト増に拍車が掛かりやすい構図となっている。

■原油価格のアノマリー

原油価格も株価指数同様に、年末に向けて上昇しやすいアノマリーがある。その背景には、冬の暖房需要を先取りする動きのほか、節税対策で在庫の取り崩しが進みやすいことがある。加えて、今年はラニャーニャ現象が発生する可能性が強まっており、厳冬による北半球での予想外のエネルギー需要の高まりが警戒されている。

つまり、年末に向けてWTI原油先物は100ドルを付けてもおかしくない条件が整いつつある。

もちろん、株価は上下動するものであり、一方向に下げ続けることはないかもしれないが、年末にかけてWTI原油先物が高止まり、もしくは上昇基調を続けるのであれば、日経平均株価の年末高は厳しくなるのではないかと考えている。

◆東条麻衣子

株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。

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