為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米利上げに根強い期待も

通貨
2021年10月30日 14時18分

【今週の概況】

■ドル強含み、早期利上げの思惑残る

今週のドル・円は強含み。10月26日発表の9月新築住宅販売件数、10月CB消費者信頼感指数は市場予想を上回ったことから、早期利上げの可能性が高まり、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。ドル・円は一時114円31銭まで買われたが、27日発表の9月耐久財受注は市場予想を下回ったことから、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小し、ドル・円は113円台に反落した。日本銀行の黒田総裁が「現時点の円安は日本経済にマイナスではない」との見方を示したことから、ドル・円は下げ渋ったが、28日発表された米国の7-9月期国内総生産(GDP)成長率は市場予想を下回り、ドルの上値は再び重くなった。

29日のニューヨーク外為市場でドル・円は113円73銭まで下落後、114円10銭まで戻した。この日発表された7-9月期雇用コスト指数は市場予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測が強まり、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。ドル・円は114円01銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:113円26銭-114円31銭。

【来週の見通し】

■ドルは底堅い値動きか、米利上げに根強い期待も

来週のドル・円は底堅い値動きか。来週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ハト派寄りの政策姿勢と予想され、長期金利の上昇は一服することから、ドル売りが優勢となる可能性がある。ただ、10月雇用統計など経済指標が堅調なら、将来的な利上げへの根強い期待がドルを支えそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は11月2-3日のFOMCで資産買入れの段階的縮小(テーパリング)開始を決める公算。早ければ11月中に債券買入れの縮小を開始し、2022年半ばには完了するシナリオがすでに織り込まれている。

政策金利の引き上げを巡って、金融当局者の間で見解の相違が存在することが指摘されている。パウエルFRB議長は10月22日の講演でテーパリングの重要性に言及しながらも、利上げには慎重な姿勢を強調しており、今回のFOMCでは早期利上げに慎重なスタンスに集約される可能性がある。5日発表の10月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が2カ月連続減の反動により大幅増が予想され、ドル買い材料になりやすい。なお、他の主要中央銀行の金融政策も注目される。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は10月28日、理事会後の記者会見で、「高インフレの局面は想定以上に長期化する」と述べており、将来的な利上げの思惑が浮上している。一方、黒田日銀総裁は足元の円安を容認しており、市場がこの点に着目した場合、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。

【米・10月ISM製造業景況指数】(11月1日発表予定)

11月1日発表の米10月ISM製造業景況指数は60.3と、前月の61.1を下回る見通し。連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定を前に減速が警戒されれば、金利高・ドル高の流れは一服しよう。

【米・10月雇用統計】(11月5日発表予定)

11月5日発表の米10月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+40.0万人、失業率は4.7%の見通し。雇用者数は2カ月連続で予想を大きく下回っており、その反動で増加すれば回復が意識されよう。

予想レンジ:113円00銭-115円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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