【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ビッグプロジェクトが切り拓く半導体復活の道!
「ビッグプロジェクトが切り拓く半導体復活の道!」
●安全保障上の重要度高まる「産業の米」
最近、あるビッグプロジェクトのことが気になって仕方がない。“ビッグプロジェクト”なので、個人的に関わりがあるわけではない。
規模は実に8000億円だ。これほどの規模になると、日本を代表するような大企業であっても、さらに言うと国家でさえ簡単には実行できない。
しかし現在、そんなビッグプロジェクトがスタートすることになったのだ。台湾の半導体メーカーである台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>とソニーグループ <6758> が共同で熊本県菊陽町に建設を予定している 半導体の新工場のことだ。
このプロジェクトには特異なポイントがある。日本政府が大きく関わっていることだ。企業のプロジェクトに国が関わることはあるものの、これほどまで強力に支援するのは珍しい。
このプロジェクトに要する費用は、前述したように8000億円だ。それをTSMCとソニーが賄うことになるのだが、必要資金8000億円の半分ほどを国が負担するというのだ。これはもちろん異例中の異例。経済安全保障上の観点から、巨額負担は当然というのだから国の本気度が分かる。
改めて書くまでもなく、いまは自動車メーカーだけでなく、ハイテク、機械メーカーなど多くの企業が半導体不足で困り果てている。いまはそれが国家の安全保障に関わるような事態にはなっていないが、将来的にそうなる恐れはある。国がそれを懸念しているのは明らかで、予防策として今回のプロジェクトを立ち上げたと見てよく、今後も類似の取り組みを行うことは十分にあり得る状況だ。
半導体は「経済の米」であり、熊本だけで製造するのではなく、全国各地で生産を可能にすることには意味もある。幸い、国内の半導体メーカーはソニーだけではない。しかし、それらの設備が古くなっていることもあり、世界各国のメーカーに遅れないためには設備の更新も求められている。
●狙うは半導体製造装置
これらを考えると、TSMCとソニーによるビッグプロジェクトは、他社にも道を開くものとなるだけに、参加企業も増えてくると見られる。
そこで注目銘柄だが、 半導体製造装置に限りたい。工場建設でまず重要となるのが、製造装置の設置だからだ。
具体的には、高機能皮膜形成用容射加工機に強いトーカロ <3433> 、超純水製造装置に強い野村マイクロ・サイエンス <6254> を。
続いてTHK <6481> だ。半導体製造機器だけでなく、産業機械類に不可欠な直動案内機器で世界シェア首位ながらまだ評価は低く、今後見直される可能性が高い。
真空技術に強く、ロジック・メモリー向け半導体製造装置で高技術を持つアルバック <6728> も、浅い押し目は見逃せない。
精密位置決め技術を活かし半導体製造装置に事業展開している東京精密 <7729> も、ウエハテスト用装置で世界首位の実力は魅力的。株価は高値圏ながらさらなる高値があると見る。
そして最後に、私の好きなマルマエ <6264> を(故郷の鹿児島県に会社があるので身びいきがあることをお断りしておきたい)。ただ、目先株価はかなり高くなっているため、一服を待った方がよい。
2021年11月12日 記
株探ニュース