明日の株式相場に向けて=確変モードの半導体関連株

市況
2021年11月15日 17時01分

週明け15日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比166円高の2万9776円と3日続伸。日経平均株価は引き続き2万9000円台後半で売り物を吸収する展開だが、ジリジリと3万円大台に向け前進をみせている。「滞留出来高を考えると2万9000円台後半から3万円にかけての戻り売りが厚いというのは錯覚」(中堅証券アナリスト)という指摘もある。下値でいえば2万9000円大台ライン(2万8000円台との境い目)は確かに高水準の商いをこなしている水準で下値抵抗ラインとして意識されるが、3万円大台ラインは心理的なフシではあっても、需給的にはそれほど意味のある境界線ではない。

今週は週前半に中国の経済指標と米国の経済指標が集中する。きょうは、東京市場の前場取引時間中に10月の中国小売売上高と中国工業生産高がそれぞれ発表された。中国の景気減速懸念が強まるなかにあって、数値的にはポジティブな内容だったといってよい。一方、10月8日以降のバルチック海運指数の動きを見る限り、引き続き中国経済への警戒は怠れないものの、過度な不安も投資行動をミスリードする可能性がある。

明日は、10月の米小売売上高と米鉱工業生産指数が注目される。小売売上高については予想数値から上振れするのが望ましく、仮にコンセンサスを下振れると、米国での物価上昇が警戒されるなかにあって消費が冷え込んでいる状況が浮き彫りとなり、スタグフレーション懸念がまたぞろメディアを賑わすことになる。今の米国株はテーパリングが開始されても過剰流動性の余熱で、当面浮揚力が働く環境にあるが、テーパリングの前倒し(量的緩和縮小幅の増額)や利上げスケジュールに対する現実味が帯びると相場への影響も避けられなくなるため、こうした経済指標を注意深く見守っていく必要がある。

個別株に目を向けると、ここにきて半導体関連株がいよいよ確変モードの様相となってきた。主力どころでは最高値街道を走る東京エレクトロン<8035>に続き、レーザーテック<6920>も大幅高で約2カ月ぶりに上場来高値を更新。一時3万30円まで買われ、日経平均に先んじて“3万円の壁”を突き破ったが、こちらはいうまでもなく初の大台替えである。レーザーテックの今期業績は最終利益段階で9%増益見通し。もともと業績見通しに保守的な会社だが、マーケットは上振れが濃厚とみている。そうでなければPER120倍台でこれだけ強力に上値を買い進む動きが顕在化することはない。この流れは他の半導体主力銘柄にも波及する公算が大きい。

例えばアドバンテスト<6857>は9月16日につけた高値1万1550円まで1400円強の開きがある。出遅れている理由が何かあると考えがちだが、直近発表された7~9月期の受注高は前年同期比3倍で2000億円超えという目を見張る水準に膨らんでいることが明らかとなった。もちろんイコール売り上げではないが、それだけ同社に対するニーズが業界から寄せられていることは証明された。実績としても半導体検査装置で世界屈指、DRAM用では世界トップシェアを誇るだけに再評価機運が出てくる可能性がある。レーザーテックはニッチトップ銘柄としてファンド組み入れの動きが進み、踏み上げ的な相場となったがPERは130倍近い。アドバンテストは20倍台半ばである。

半導体関連では、丸文<7537>は4ケタ大台指向のチャートで目先の押し目は買い妙味がある。また、値がさ株では芝浦メカトロニクス<6590>も好業績を背景に6月下旬につけた年初来高値8500円どころを目指す動きが想定される。半導体関連は非常に裾野が広いが、穴株としてマークしたいのはケル<6919>半導体製造装置向けコネクターが繁忙状態にある。直近、年初来高値を更新したが、まだPERは9倍前後、PBR0.7倍近辺で年41円配当と株主還元も厚い。

あすのスケジュールでは、9月の第3次産業活動指数が経済産業省から午後取引時間中に発表される。海外では7~9月のユーロ圏域内GDP確報値のほか、10月の米小売売上高、10月の米輸出入物価指数、10月の米鉱工業生産・設備稼働率、11月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数などが予定されている。なお、米国ではウォルマート<WMT>とホーム・デポ<HD>の8~10月決算発表が注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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