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「増やすなら集中投資」、そのリスク回避はミーハー的買い物術

特集
2021年12月9日 11時30分

ゆる~いようで強い! 投資家女子の決め技 麻美さんの場合-第2回

登場する銘柄

スノーピーク<7816>、ワークマン<7564>、神戸物産<3038>、オイシックス・ラ・大地<3182>

文・イラスト/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

【タイトル】麻美さん(ハンドルネーム・60代・女性)のプロフィール:
離婚後、現在はパートタイマーをしつつ、株式投資に励むシングルウーマン。子供はすでに成人して独立、現在は孫もいる。お金も時間も使い方は完全自由の環境となり、2015年、友人の勧めをきっかけに株式投資をスタートした。
元手としたのは貯金の一部の100万円で、以降、失敗を繰り返しつつも、追加資金を入れ資産は7年足らずで累積元本500万円を5000万円にまで拡大させた。
成功のカギは「トレンド好き」「調べ好き」「交流好き」の三拍子を生かした投資スタイルの確立。生活密着型の女性目線でトレンド商品を見極めるのが得意で、実際に店舗に行き、店員に売れ行き状況をヒアリングするなど生きた企業調査も熱心だ。長く従事している外資系企業の営業経験から得たコミュニケーション力が投資にも生きている。

前回記事「美魔女の麻美さん、『ミーハー&パーフェクト』戦略で"資産テンバガー"」を読む

7年で利益を10倍にした麻美さん(ハンドルネーム)の2回目は、女性ならではの視点を生かした企業ウォッチングの方法、ならびに、そんな「麻美流」にたどりつくまでの人生の歩みについても触れていく。

麻美さんは好パフォーマンスを打ち出すために保有銘柄数を絞った集中投資を心掛けている。1銘柄に振り向ける金額が大きくなるからには、「この銘柄はこのように業績成長していく」という確信なしには、絶対にしないと言う。

その企業のサービス、提供する商品が良いものかどうか、この先、人々の人気を集めるに値するものかどうかをしっかりと自分の目で見極めるというステップを踏む。

では、ファンダメンタルズ・チェックの具体例を見ていこう。

定性情報にお宝ありと、「この会社で働いていて楽しいか」も質問

麻美さんは、まず、気になる銘柄が見つかると、『株探』で検索して企業チェックを行う。株価チャートを見て上昇トレンドにあるのか、業績が上向きかを確認するのが最低限のルーティンだ。

さらに『株探』の会社情報に掲載されている会社サイトのURLをクリックして、必要な情報をチェックする。中期経営計画などを公表していれば、必ず成長戦略などを確認し、今後どの程度の業績向上が見込めるのかの見当を付ける。

■『株探』の神戸物産の銘柄トップページに掲載している会社情報

【タイトル】

公表情報に疑問などが生じた時は、直接企業のIR(投資家向け広報)部門に電話して問い合わる。その際、ビジネスモデルや業績に関連することだけでなく、「この会社で働いていて楽しいか、やりがいがあるか」なども質問する。従業員の働くモチベーションが高いかは、企業分析をする上では欠かせない項目と考えているのだ。

すぐに返事が返ってくるか、口先だけではなく本心から言っているのかなど、回答するIR担当の微妙な反応で認識できることもあるため、電話など生の情報収集にこだわる。これらは親しくする「かぶ友」から教わったやり方だ。

新興企業では「創業のきっかけ、経緯」をしっかり理解

新興企業の場合は、なぜそのビジネスを始めようと思ったのかについても理解し、その取り組みが世の中にどう貢献していくのかを自分なりに考えていく。応援したくなる企業かどうかも重要なポイントだ。

例えば後に触れるオイシックス・ラ・大地<3182>では、創業者が協力を求めて訪れたある農家から「この良さがわかるか」と迫られ、浮ついた気持ちでないことを示すために畑の土を食べたというエピソードを知り、共感を覚えた。

決算情報から読み取れる定量情報に限らず、こうした定性的な部分も見逃せない情報というのが麻美さんの考えだ。

神戸物産は店舗で人気ぶりを探る

『業務スーパー』を展開する神戸物産<3038>のケースでは、まず、2019年頃に賑わいだ「タピオカブーム」に注目したのがきっかけだ。日本経済新聞で「タピオカ人気で最高益決算」と書かれた記事を見つけ、同社を監視の対象にした。

麻美さんが心がけているのは、二次情報にとどまらず、一次情報で確認すること。神戸物産については、店舗に足を運び、低価格で品揃えが豊富な様子や、顧客層が若い女性から高齢者まで、幅広い年齢層から人気を集めている様子を肌で感じ取った。

さらに同社のサイトで、低価格販売の背景に海外から商品を直輸入するやり方が鍵になっていることがわかる。また積極的に食品工場のM&A(企業の買収と合併)を進める攻めの姿勢も伺えた。これらも買いの判断となった。

初回購入に至ったのは、同年の10月2日。

その日の株価が大きな陽線を立てて上昇し、75日移動平均線を上回ったことを確認。さらに『株探』の3カ月決算の欄を確認し、直近3四半期の売上高が連続2ケタ増益という業績モメンタムが見られたこともプラス材料とした。

■神戸物産の日足チャート(2019年9月13日~20年3月18日)

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同

■『株探プレミアム』で確認できる神戸物産の四半期決算の長期推移

【タイトル】

生活密着型のブロガー効果にも期待

神戸物産では、「業務田スー子」のハンドルネームで、業務スーパーで買った食材を使ったおかずの作り方などを発信しているファンがいることも注目した。

スー子さんは日本テレビの人気情報番組『ヒルナンデス』に頻繁に登場し、さらに『業務用スーパー活用レシピ』も出版する。これによって業務スーパーに足を運ぶ消費者が増えて同社の業績や株価に追い風になると踏み、麻美さんは神戸物産株の買い増しを進めていった。

その後、20年の2月頃、株価上昇の勢いが弱まったところで利益確定へ。次いで春から夏にかけても再び取引して手仕舞った。その同社の株価は大きく上昇を続けたが、部分的でも確実に上昇分をさらったことで、このトレードは良しとした。

この例のように、自身の目で店舗の人気ぶりや商品&サービスの良さを確認し、株価上昇のトレンドの波に乗っていくのが麻美さんの典型的な勝ちパターンとなる。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

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