【杉村富生の短期相場観測】 ─2022年は日本株が見直されるタイミング!
「2022年は日本株が見直されるタイミング!」
●成長率、コロナ対応などを評価する局面!
日本市場は既報のように、底値を確認、反騰態勢を固めつつある。2022年は「トラは千里を走る」の兜町の格言通りに、明るい展開となろう。それに、日本株の出遅れは著しい。この修正に加え、日本株見直しの動きが強まるだろう。
直近の日経平均株価のPERは予想ベース13.8倍(実績ベースは18.6倍)、PBRは1.25倍にすぎない。安値比では株価が急騰したものの、株価指標は歴史的な安値圏にある。
ちなみに、単純比較は無意味とはいえ、NY市場(S&P500社ベース)のPERは20.8倍、PBRは4.98倍、世界平均(MSCIベース)のPERは17.8倍、PBRは3.13倍に評価されている。
もちろん、出遅れるにはそれなりの理由がある。いや、「あった」というべきか。すなわち、日本市場の地盤沈下(国際マネーの配分シェアに影響→MSCI指数採用銘柄の削減)、外国人の売り越し基調(今年1~11月は先物を含め、1.9兆円の売り越し)、岸田政権の政策に対する失望感(岸田ショック)などがあったと思う。
さらに、年前半はコロナ対応の不手際(ワクチン接種率の低さ)、中国景気の不透明感(恒大集団の経営危機)などが危惧された。しかし、ワクチン接種率(2回目)は77%と、アメリカ、ドイツなどを上回って、トップグループに躍り出ている。ブースター(3回目)接種も医療従事者を対象に始まった。いまや、コロナ対応の“先進国”である。
変異株「オミクロン」についてはファイザー<PFE>、モデルナ<MRNA>の「メッセンジャーRNA」タイプの新型コロナウイルスワクチンがブースター接種(イギリスが先行接種)によって、抗体の量が高まることが報告されている。
●国内勢に加え、外国人の本格参戦が迫る!
岸田政権はファイザーに追加のワクチン提供を首相自ら直談判したという。さらに、55.7兆円の景気対策を打ち出した。中国の中央銀行は預金準備率を引き下げ、景気テコ入れに着手している。
2021、2022年の経済見通しはOECD(経済開発協力機構)によると、世界景気は5.6%→4.5%と成長率が鈍化する予想となっているが、日本は逆に1.8%→3.4%と成長が加速する見通しで、2022年の成長率は9月に公表した2.1%の予想値から上方修正(プラス1.3ポイント)されている。これは国際マネーの運用姿勢に好影響を与えるだろう。
原油価格の高騰による恩恵を受けているオイルマネーの環流も見込める。すでに、欧州系ファンドの買いがみられるという。これは産油国のSWF(国家資産管理ファンド)の“先遣隊”ではないか。
一方、足元の需給面では外国人は相変わらず売り越しだが、信託銀行(公的年金?)、法人(自社株買い)、個人の買い意欲が強い。国内勢の出動である。外国人は前述したように、年明けとともに本格参戦が期待できる。
物色面はどうか。やはり、機関投資家が狙う収益力の強固な銘柄群に注目したい。コストアップ(エネルギー、原材料価格の上昇など)を吸収可能な企業だ。具体的にはトヨタ自動車 <7203> 、イビデン <4062> 、ベネフィット・ワン <2412> 、伊藤忠テクノソリューションズ <4739> などになる。
小物では青山財産ネットワークス <8929> [東証2]に妙味があろう。日本M&Aセンター <2127> を長期保有していた小型株専門ファンドが「日本M&Aセンターは時価総額が1.2兆円になり、小型株といえなくなった。その点、資本・業務提携先の青山財産ネットワークスは355億円とこれからの会社だ」と。
このほか、リチウムイオン電池(正極材)関連の田中化学研究所 <4080> [JQ]、夢とロマンにあふれているステラファーマ <4888> [東証M]、5G(次世代通信網)関連の日本電波工業 <6779> 、クラウドサービスのビジョナル <4194> [東証M]は引き続いて要注目である。
2021年12月10日 記
株探ニュース